[香港 12日 ウォール・ストリート・ジャーナル]
米アップルは、意表を突いた中国人民元切り下げで最悪の「負け組」に入る可能性がある。
一方で、アップルのライバルである中国企業やiPhone(アイフォーン)の主要組み立て業者は、最高の勝ち組になるとみられている。
アップルや米ファストフード大手ヤム・ブランズなどの外国企業は、世界第2の経済大国である中国に売り上げ面で大きく依存している。これらの企業にとって、人民元の下落は米ドル換算の売り上げが減ることを意味する。一方、アップル製品を組み立てるフォックスコン(富士康)やパソコンメーカーのレノボなどのメーカーは、国内での製造コスト低下で恩恵を得る。しかも売り上げの大半は米ドル建てになっている。
中国人民銀行(中央銀行)が11日、人民元を米ドルに対して1.9%切り下げた狙いの1つは、減速する国内経済と減少する輸出をてこ入れすることにあった。人民元切り下げは、国外の買い手にとって中国製品の価格を下げる。先月の輸出が前年同月比8.3%減っただけに、中国のメーカーは元切り下げを歓迎している。
アップルのライバルとして台頭している中国企業の中には世界的なスマートフォンブランドを構築している企業もあり、二重の追い風を受けている。国外販売による売上高が増えているためだ。レノボや主に通信機器を販売する華為技術は既に売り上げの大半を国外で上げている。スマホメーカーの小米などの新興企業も国外に進出している。
中国通信業界のサイトcctime.comのシャン・リーガン最高経営責任者(CEO)は「中国ハイテク業界のあらゆる企業が世界に打って出ている。人民元切り下げにより、彼らの製品の海外での競争力がさらに高まるだろう」と述べた。華為はコメントを差し控えた。レノボと小米にコメントを要請したが、返答はなかった。
一方で、人民元切り下げで中国の他の業界は大きな打撃を受けている。航空業界もその一つで、株価は急落した。航空機購入時に負う債務の大半が米ドル建てだからだ。アナリストによると、航空会社各社の債務は一瞬で何億ドルも実質的に増えたことになる。
外国企業の反応はまちまちだ。中国から人民元建てで物品を調達している企業はコスト減による恩恵を受けるだろうが、中国のサプライヤー(供給業者)と米ドルで契約している企業はほとんど影響を受けないとみられる。一方、中国が主要な輸出市場になっている企業は、ドル換算の売り上げ減少を受け入れるか、中国での値上げを迫られることになるだろう。
アップルは人民元切り下げから特に影響を受ける企業の一つだ。4-6月期の大中華圏(香港と台湾を含む)の売り上げは前年同期比112%増加。大中華圏は同社の売り上げで米州に次ぐ2番目に大きい市場となった。同時に、中国経済が減速するなか、人民元の下落圧力リスクに直面することにもなった。ここ数カ月は中国株式市場が乱高下しており、投資家の緊張は一段と高まっている。
台湾・富邦銀行のアナリスト、アーサー・リャオ氏は「中国の突然の通貨切り下げは、中国の経済成長に対する市場の懸念を裏付けた」と語る。「われわれは中国でアイフォーン需要が減退するとみている。もし中国が通貨切り下げを続ければ、アップルは製品価格を上げる可能性がある」
アップルのティム・クックCEOは先月、いずれ中国がアップルにとって最大の市場になるとみていると話していた。
アップルの広報担当者は、人民元切り下げによる影響を相殺するために中国で価格を調整するかどうかに関して、コメントを差し控えた。ただ、先月の決算発表時の幹部コメントを引用し、為替変動の影響が利益率や増収率を圧迫する公算が大きいと述べていたことを指摘した。当時、最高財務責任者(CFO)は「為替変動に対応してどの製品の価格をいつ上げるかについて慎重に考えている」とも述べていた。
売り上げで中国に依存する他の米大手企業も、打撃を受ける可能性がある。こうした企業は過去2、3年間にわたって人民元高から恩恵を受けていた。この間、人民元は他のアジア通貨より割高だったことで、中国メーカーの競争力は抑えられていた。
米アップルは、意表を突いた中国人民元切り下げで最悪の「負け組」に入る可能性がある。
一方で、アップルのライバルである中国企業やiPhone(アイフォーン)の主要組み立て業者は、最高の勝ち組になるとみられている。
アップルや米ファストフード大手ヤム・ブランズなどの外国企業は、世界第2の経済大国である中国に売り上げ面で大きく依存している。これらの企業にとって、人民元の下落は米ドル換算の売り上げが減ることを意味する。一方、アップル製品を組み立てるフォックスコン(富士康)やパソコンメーカーのレノボなどのメーカーは、国内での製造コスト低下で恩恵を得る。しかも売り上げの大半は米ドル建てになっている。
中国人民銀行(中央銀行)が11日、人民元を米ドルに対して1.9%切り下げた狙いの1つは、減速する国内経済と減少する輸出をてこ入れすることにあった。人民元切り下げは、国外の買い手にとって中国製品の価格を下げる。先月の輸出が前年同月比8.3%減っただけに、中国のメーカーは元切り下げを歓迎している。
アップルのライバルとして台頭している中国企業の中には世界的なスマートフォンブランドを構築している企業もあり、二重の追い風を受けている。国外販売による売上高が増えているためだ。レノボや主に通信機器を販売する華為技術は既に売り上げの大半を国外で上げている。スマホメーカーの小米などの新興企業も国外に進出している。
中国通信業界のサイトcctime.comのシャン・リーガン最高経営責任者(CEO)は「中国ハイテク業界のあらゆる企業が世界に打って出ている。人民元切り下げにより、彼らの製品の海外での競争力がさらに高まるだろう」と述べた。華為はコメントを差し控えた。レノボと小米にコメントを要請したが、返答はなかった。
一方で、人民元切り下げで中国の他の業界は大きな打撃を受けている。航空業界もその一つで、株価は急落した。航空機購入時に負う債務の大半が米ドル建てだからだ。アナリストによると、航空会社各社の債務は一瞬で何億ドルも実質的に増えたことになる。
外国企業の反応はまちまちだ。中国から人民元建てで物品を調達している企業はコスト減による恩恵を受けるだろうが、中国のサプライヤー(供給業者)と米ドルで契約している企業はほとんど影響を受けないとみられる。一方、中国が主要な輸出市場になっている企業は、ドル換算の売り上げ減少を受け入れるか、中国での値上げを迫られることになるだろう。
アップルは人民元切り下げから特に影響を受ける企業の一つだ。4-6月期の大中華圏(香港と台湾を含む)の売り上げは前年同期比112%増加。大中華圏は同社の売り上げで米州に次ぐ2番目に大きい市場となった。同時に、中国経済が減速するなか、人民元の下落圧力リスクに直面することにもなった。ここ数カ月は中国株式市場が乱高下しており、投資家の緊張は一段と高まっている。
台湾・富邦銀行のアナリスト、アーサー・リャオ氏は「中国の突然の通貨切り下げは、中国の経済成長に対する市場の懸念を裏付けた」と語る。「われわれは中国でアイフォーン需要が減退するとみている。もし中国が通貨切り下げを続ければ、アップルは製品価格を上げる可能性がある」
アップルのティム・クックCEOは先月、いずれ中国がアップルにとって最大の市場になるとみていると話していた。
アップルの広報担当者は、人民元切り下げによる影響を相殺するために中国で価格を調整するかどうかに関して、コメントを差し控えた。ただ、先月の決算発表時の幹部コメントを引用し、為替変動の影響が利益率や増収率を圧迫する公算が大きいと述べていたことを指摘した。当時、最高財務責任者(CFO)は「為替変動に対応してどの製品の価格をいつ上げるかについて慎重に考えている」とも述べていた。
売り上げで中国に依存する他の米大手企業も、打撃を受ける可能性がある。こうした企業は過去2、3年間にわたって人民元高から恩恵を受けていた。この間、人民元は他のアジア通貨より割高だったことで、中国メーカーの競争力は抑えられていた。