日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

市場、ひとまず好感 ユーロ11年ぶり安値 対ドル

2015年01月23日 | 金融:中央銀行・国際金融機関
〔15.1.23.日経新聞:総合1面〕
 

 【ロンドン=黄田和宏】22日の欧州金融市場では、欧州中央銀行(ECB)が決めた量的緩和策が「期待を上回る内容だった」(英キャピタル・エコノミクス)とひとまず好感した。外国為替市場ではユーロが対ドルで1ユーロ=1.14ドル台前半に下落し、11年ぶりの安値を更新した。米欧株式市場も主要指数がそろって上昇した。

 事前の市場観測ではECBの資産買い入れ規模は月500億ユーロ程度との見方が多かった。今回の決定は月600億ユーロと事前観測を上回り、緩和規模が大きいとみてユーロ安が進んだ。

 ユーロは対円でも売られ、政策発表の前後で1ユーロ=136円台後半から同134円台半ばへと円高・ユーロ安が進んだ。円高・ユーロ安は昨年10月以来、約3カ月ぶりの水準だ。市場では先行きもユーロ安が加速して「年内に1ユーロ=1.1ドルを割り込む」(シティグループ)との見方が出ている。

 米欧の株式市場もひとまずECBの決定を好感した。欧州ではユーロ安の進行を受けて企業収益に追い風が吹くとの見方が広がり、ドイツの株価指数DAXが過去最高値を更新した。イタリアやスペインなどでも主要な株価指数が2%超上昇した。欧州株の上昇を好感して、ニューヨーク市場では米ダウ工業株30種平均が1%近く上昇した。

 欧州では債券市場で金利低下も加速した。ドイツでは10年物国債利回りが一時0.3%台後半をつけ、過去最低を更新した。金融緩和の恩恵を受けるイタリア、スペイン、ポルトガルでも長期金利が過去最低を記録した。ドラギ総裁が購入対象をマイナス金利の国債や30年債まで含めると発言したことで、超長期の国債にも金利低下が波及した。ギリシャ国債は購入対象に含まれるものの、購入には条件が付いたことで10年債利回りは9%台で高止まりした。

 一方でマネーの変調を警戒する商品市場では22日、金相場が上昇し、ニューヨーク市場の金先物が一時1トロイオンス1300ドルを上回った。ユーロ安の進行で、外為市場が不安定さを増すとみた投資家が安全資産と位置づけられる金市場に資金を入れた。

▽金融政策 波乱要因に 日欧が緩和、米は引き締めへ マネー変調、拡大の恐れ
 主要国の中央銀行の金融政策は、日欧が緩和を強化する一方で米国は引き締めの検討に入り、方向感にばらつきが出てきた。ドル高をきっかけに原油価格が大幅に下落するなどマネーの流れが変調しているが、ふぞろいな各国の金融政策がその一因とされる。

 日本は昨年10月末に黒田東彦総裁の就任から2度目の金融緩和に踏み切った。ただ物価上昇率は原油安の影響で下振れしており、再び追加緩和に踏み切るとの観測もくすぶる。欧州中央銀行(ECB)も22日に量的緩和の導入を決め、景気刺激を続ける日欧の金融緩和は長引く見通しだ。

 経済が持ち直した米国は、2008年のリーマン・ショック以降に導入した量的緩和を昨年に終了した。今年半ばには事実上のゼロ金利を解除し、利上げに踏み切るともみられる。債務危機でもたついた欧州や、デフレからの脱却が道半ばの日本とは対照的だ。

 日米欧の金融政策のズレに外国為替市場は敏感に反応する。通貨の総合的な価値を示す日経通貨インデックス(2008年=100)でみると、ドルは22日、09年3月以来約6年ぶりの高水準をつけた。

 各国の金融政策は相互に影響し合うため、中銀が思うように市場を動かしにくくなるリスクがある。米国では利上げが見込まれるにもかかわらず、長期金利が今月に入って2%を割り込み1.8%台まで低下した。ECBの量的緩和観測が広まり各国市場に影響した。

 04年から06年にかけて米連邦準備理事会(FRB)が17回連続の利上げに踏み切って金融を引き締めたにもかかわらず、米国の長期金利が上昇しない現象が起きた。

 当時の米金利の低下は、その後のリーマン危機につながる住宅や証券のバブルを生んだともされる。主要国中銀の政策のズレは、金融資本市場の波乱要因となりかねない。 

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