ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

民訴法昭和58年第2問

2009年07月26日 19時34分44秒 | 民訴法
この問題も現場で出されたらパニックになりそうなぐらい、たくさんの問題点を含んでいます。




民事訴訟法昭和58年第2問
甲が、乙に対し、昭和57年4月1日に100万円を貸し渡したと主張して、その返還を求める訴えを提起したところ、乙は右借受の事実を否認した。証拠調べの結果、甲の請求する100万円は、甲が乙に売渡していた宝石の代金100万円を甲主張の日に貸金に改めたものであること、および、甲乙間には、右金員につき昭和57年4月から昭和58年11月まで毎月末日限り5万円ずつ分割して支払うとの合意ができていたことが明らかとなった。
 この場合、当事者はどのような訴訟行為をすることができるか。また、それに応じて、裁判所はどのような判決をすることになるか(ただし、口頭弁論は昭和58年4月15日に終結するものとする)。



一 当事者がする訴訟行為
1(1) 訴訟行為とは、裁判に向けて展開していく、当事者及び裁判所の意思表示
    本問甲の主張は貸金返還請求、証拠調べの結果裁判所が形成したのは準消費貸借契約
    訴えの変更が必要か?
 (2) 訴えの変更の要否
    訴訟物は、基準の明確性から実体法の権利を基準→必要
 (3) 訴えの変更の可否
    請求の基礎の同一性の判断
    両請求が社会通念上共通するか、訴訟資料が流用できるか→可能
2(1) 訴えの変更によって、要件事実が変更される
    甲は要件事実の主張責任を負うか
    主張責任は証明責任から派生するものと解されるから、証明責任の分配基準による
 (2) 証明責任の定義
    基準の明確性及び実体法は当事者間の公平を考慮して規定
    よって、実体法を基準にすべき。
    また、法律効果を主張する当事者が証明責任を負う。
    ただし、一方当事者の不利益が大きい場合には、公平の観点から例外として相手方に証明責任を負わせるべきである。
 (3) 準消費貸借契約の要件事実は、
    ①旧債務の存在、②返還の合意
    債務者は、基礎となる旧債務の不存在について二重払いの危険を回避するための対策を行うことから立証容易。
    そこで、債権者は
    ②返還の合意、債務者は①’旧債務の不存在について証明責任を負わせることが公平に適う。
 (4) 本問、甲は②返還の合意、乙は旧債務の不存在について証明責任を負い、主張責任も負う。
    甲は、①旧債務の存在について主張責任を負わない。
 (5) 分割払いの事実は、債務者にとって一括弁済をしなくてもよいとする権利障害事実のため、債務者たる乙が負う。
 (6) 以上の事実はいずれが主張してもよい。
    ∵主張責任は、当事者と裁判所との役割分担である
3 被告たる債務者乙は、原告の主張に対して真偽不明となるように反証可能

二 裁判所の判決
1 裁判所は、以上の事実に関して当事者から主張がなければ、弁論主義の第一テーゼにより事実認定不可
2 主張があれば、事実認定可
3(1) 75万円については、現在給付のため可能、25万円については将来給付判決
    一部認容判決として許されるか?
    処分権主義(246条参照)は、当事者意思の尊重、被告の不意打ち防止の観点から判断
    原告甲は請求棄却による0万円より、75万円の現在給付、25万円の将来給付がよい
    被告乙は100万円の現在給付より、75万円の現在給付、25万円の将来給付がよい
    よって、一部認容判決可
 (2) 将来給付判決もあらかじめ請求を求める必要性があるため可
4 したがって、裁判所は、75万円の現在給付、25万円の将来給付判決を下すべき

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