goo

『シベリア鎮魂歌ー香月泰男の世界』 @ 立花隆


今年2011年は 画家の香月泰男の生誕100年(1911年10月生)で、一部の美術ファンの間では、話題にはなったが、世間一般では、さすがにこの21世紀に、「もう シベリアでもないだろう」というのが、一般的な受け止めだっただろう。

 しかし、本書の中では、21世紀どころか 既に1965年(昭和40年)の時点で 毎日新聞で「依然として(中略)戦争を追求し続けている画家」と報道さてていることが、紹介されている。
 
  香月の代名詞でもある「シベリアシリーズ」で、他ならぬ香月自身が「シベリアは、もうこれで終わりにしよう」と何度も思いながらも、「もう1枚、あと1枚」と 描き続けさせたものは 何だったのかを 丹念に掘り起こしているのが、この本です

 決して二度と体験したくない,思い出したくないものだけれど、それがあったからこそ、今の自分がある・・・・。そんなことって、程度の差こそあれ、だれにもあるよね。それを 画家としての自分の「生きる中心軸」に据えた、というより「それ以外の選択がなかった」のが、香月だろうね。

 小説家は 書きたいものを書くのではなく 書かざるえないものを書く のです
 画家は  描きたいものを描くのではなく 描かざるえないものを描く のです

 あなたにとって 「書かざるを得ないもの 発言せざるを得ないもの」は 一体何なのだ と読む者に迫ってきます

 立花隆自身は、僕はあんまり好きではないけれど、氏のテーマにせまってゆく取材方法というかその姿勢には、学ぶべきものがたくさんあるね。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 二日市町界隈... 横川3丁目界... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。