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『なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか』@大林宣彦

 

 この新書、10年前くらいに一度読んだのですが、思うとことがあり、また書棚から取り出して再読した次第。陳腐なタイトルの本ですが、もちろん大林宣彦監督が、「今時の若者はけしからん」なんて本を出すわけないことは、誰もがわかっていますよね。

 

 監督が、ある外国の本を読んだ時のことです。(たぶん日本語訳で)。ある国のある町で、若者のグループがバスの座席を我が物顔で座席を占拠していた。

 

 するとおじいさんが「君たちもやがて年を取るんだよ。年を取った人間がどれだけ足や腰が痛いか、今の君たちにはわからないだとうけど、君たちもいずれ今の私と同じようになる。老人に席を譲るという事を覚えていたほうがいいよ」と諭した。すると若者は素直な顔でこういった。

 

 「僕たちが年を取って老人になるだって?。僕たちは明日死ぬかもしれないんだよ」と。そう若者たちは “チェルノブイリ” の被爆者だったのです。あのウクライナの。

 

 日本でも若者(に限らないけど)が席を譲らないことはまま有るけど、「日本の若者たちは、放射能の代わりに、何が別のものに体を蝕まれているのかもしれません」と監督は考察します。

 

 この本が出版されたのは2008年だから「放射能の代わりに」と言えたけど、2023年の今はそうとも言えないところがまた怖いよね。

 

 まあ僕は、明日死ぬことが分かっていたとしても、席を譲るような人間でありたいと思いますけど。監督、そんな「フツーの人間」じゃ映画になりませんかね?

 

 

 

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