武蔵界隈は、片町や香林坊に比して,道行く人の平均年齢はぐっと上がる。それだけに、おちついた感じの店も多い。祥鮨さん、エバンスさん いつもお世話になっています。
今回、ダイエーの跡地そばの「柚子」に伺いました。今は、前後左右をビルに囲まれはしたが、ここで40年間、店を続けていること自体、その味が支持され続けている証。なので今日は、料理が「美味かったのどうだったの」という話ではない。
この店の雰囲気が、まさに「美しき昭和の残像」そのもので、感銘を受けた。まず、カウンターなし、テーブル席なしで、入口から、まっすぐ歩いてゆくと、6畳の落ち着いた設えの個室が3つ、そう個室3つのみで勝負する店である。
武蔵交差点から徒歩50秒なのに、外の喧騒とは別世界の静謐な小宇宙。品のいい庭に、床の間、渋い掛け軸、さりげない生け花。小津安二郎の映画に出てきそうな光景。つい60分前まで会社で仕事していたのに、遠く旅行に来た気分になる。
かといって、堅苦しい雰囲気はなく、きりりと着物姿も美しい相当の?ご妙齢?のお姉様お二人が、まるで掛け合い漫才みたいなコンビネーションで、場を和ませてくれます。
昭和30年代って、町の料理屋ってこんな感じだったのかなと思わせるこういう店が まだ金沢にもあったんだね。普通の居酒屋料金で、非日常的な時間を楽しめる、貴重な店です。そこがまた武蔵っぽいね。(そういえば昔、このあたりに全室個室のお好み焼き屋さんあったね)
↓杉本真人作曲の名曲、しかしヒットしなかった