goo

その時代の“熱”の中で読む @ 松下竜一『私兵特攻』

 

 

 とってもいい作品を著すけど、世間的には全く評価されない代表格が、この松下竜一じゃないでしょうか。

 この『私兵特攻』は、1945年8月15日の夕刻、つまりポツダム宣言受諾が公表されたのちに、部下22名を引き連れて特攻攻撃を仕掛けた宇垣中将。

 中将と死を共にした部下たち、特攻に参加したものの死ねなくて戦後、心に傷を抱えたまま生き続けた部下たち、そういう彼らの記録を掘り起こそうと情熱を注いだ同世代の元特攻訓練生の物語です。

 宇垣中将はあまりに有名で、高名な作家も作品にしてますが、松下竜一は、そういった将校ではなく、名も知られることのない部下たちに光を当てます。

 今の感覚では、自決するなら一人でしろ、若い青年たちを道連れにするな!!思います。しかし、当時は、おそらく部下の方が「お供させてください」と懇願したんだろうね。

 だって、戦争に負けたわけだから、おめおめと生きていると 戦勝国に自分たちがどんな扱いを受けるかわからないし。いや、日本が中国でした蛮行を知っているからこそ、今度は自分たちが同じような目にあわされることを恐れたゆえかもしれないね。

 いずれにしても、当時の“狂気の熱風”の文脈の中で、読まないと、わからないよね。

 

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 秋と冬の間で... 晩秋の駅西中... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。