石の飛行機(1)

2018-01-11 21:15:27 | 童話
小学生の浩は乗り物が大好きだ。
自動車、電車、船、飛行機、全部好きだ。
自動車に乗れば、助手席で運転している様子をずっと見ている。
電車では、一番前の車両に行き、運転手さんのスピードを上げる方法や、ブレーキを掛ける方法を真剣に見ている。

児童公園に置いてある蒸気機関車や電車や消防自動車の運転席で運転手になっている。
しかし、飛行機は浩の住んでいる町の近くの公園に無いし、本物は操縦席に入れない。浩は、今は写真を見て操縦を想像して楽しんでいる。

ある日曜日に、浩は自転車で近くの大きな川に行き、石を並べて飛行機を書いた。
そして、操縦席に座りエンジンをかけた。
ブルブルブルブル、エンジンがかかったので、次はスラストレバーを引いた。
ブ~~ン、とプロペラが高速で回転し始めた。そして、車輪のブレーキを戻すと機体が走り始めた。どんどんスピードが上がってきたので操縦かんを引くと機体がフワッと浮いた。やった、離陸したのだ。あとは上空に向って一直線。離陸に成功したので、今日はもう帰ることにして自転車に乗った。

ドッコイショ(2)

2018-01-10 21:43:33 | 童話
ある日、おじいちゃんが
『なんでおじいちゃんだけが、ドッコイショやヨイショと言うのかだって? それはね、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言っても良い年だからだよ。』
と教えてくれました。

『ねぇおじいちゃん、ドッコイショやヨイショと言っても良いのは何才からなの?』
『決まりは無いけれど、おじいちゃんの年から良いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねぇおじいちゃん、僕もドッコイショやヨイショと言っても良いのかなぁ。』
『ああ、おじいちゃんと一緒の時だけドッコイショやヨイショと言って良いよ。』
『わぁ、うれしいなぁ。』
『だけれど、おじいちゃんと一緒ではない時は、ドッコイショもヨイショも言ってはいけないよ。』
『うん、わかったよ。』僕はおじいちゃんから、おじいちゃんと一緒の時は、ドッコイショやヨイショと言っても良いと言ってくれたのでうれしかったです。

これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしようと思いました。
だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。

僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で『ドッコイショ』、『ヨイショ』と言っています。
いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で『ドッコイショ』、『ヨイショ』と言ってくれると思っています。
おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい

ドッコイショ(1)

2018-01-09 21:09:43 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に『ドッコイショ』と言いますが、座る時も『ドッコイショ』と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでドッコイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』
と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に『ヨイショ』と言う時があります。
その時は、座る時も『ヨイショ』と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでヨイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』
と言いました。

ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。
ある日、おじいちゃんが
『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」
と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』
と教えてくれました。
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。

だけれど、お父さんもお母さんもおばあちゃんもドッコイショやヨイショとは言いません。どうして、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言うのかなぁ?

僕のお仕事(2)

2018-01-08 09:51:25 | 童話
ある日、僕は保育所でパン屋さんの絵本を見つけました。
まぁ~るいパンや長細いパン、やわらかいパンやかたいパン、甘いパンやからいパン、たくさんの種類のパンがあるんだね。
そうだ、僕はパンが大好きだからパン屋さんになろう。
パン屋さんは朝早く起きてパンになる粉をまぜてオーブンに入れて焼くと僕の大好きなおいしいパンができあがるんだね。だけれど、僕はパンが大好きなので、みんなに食べてもらうようにお店で売る前に、僕がパンを全部食べてしまうのではないか心配です。

僕が作ったおいしい、おいしいパンだからお店で売る前に僕が食べてしまうかもしれない。
『お店で売るパンは僕が全部食べてしまいました。みなさんのパンはこれから作りますので、パンを買う人はチョット待ってください。』
『はいっ、おいしいパンがたくさん焼けました。
みなさん、順番に並んでください。
はいっ、ありがとうございます。』

『何をして遊んでいるの?』
と保育所の先生が聞いたので、僕は
『お巡りさんと、電車の運転手さんと、学校の先生と、新幹線の運転手さんと、パン屋さんだよ。』
と言いました。すると先生は
『あらっ、たくさんなっているのね。』
と言いました。
『うん、順番にいっぱいなるんだよ。』
『えらいわね。』

僕は先生に
『僕も保育所の先生になってもいいかなぁ?』
『ええ、いいわよ。みんな良い子だから、保育所の先生は楽しいわよ。』
『よしっ、僕も保育所の先生になる。』
そして、僕は先生のうしろに付いていって、先生と同じ事をしました。
『お外で遊んできたら、手をよく洗いましょうね。』
『先生が本を読んであげる時は静かにしていてね。』
『順番に並んでね。』
『大きな声でおへんじをしてね。』
やったぁ、僕は保育所の先生になれたんだ。うれしいなぁ、うれしいなぁ。
『ええ、りっぱな保育所の先生だわね。』

だけれど、僕はお父さんとお母さんのお仕事は知りません。
保育所の先生のように、お父さんやお母さんのうしろについて歩くことができるといいのになぁと思っています。

     おしまい

僕のお仕事(1)

2018-01-07 10:48:08 | 童話
僕のお父さんは会社へ行ってお仕事をしています。
お母さんも、僕を保育所へ送って行ってから会社へ行きます。
みんな会社でお仕事をしています。
そして、僕も保育所でお仕事をします。

僕は、昨日は消防士さんでした。保育所の赤い自動車に乗って、ウ~ン、カンカン、ウ~ン、カンカンと走りました。
今日はお巡りさんがいいなぁ。白い色と黒い色に塗ったパトカーに乗って、
『みなさん、交通事故にあわないようにしましょう。』
と言って走ろう。

郵便屋さんもいいなぁ。オートバイで郵便を待っている人の家にいっぱい配達するんだ。
『おまちどうさま、郵便で~す。』
みんな郵便を待っているので喜ばれるんだ。

電気屋さんもいいなぁ。高い電柱に登ってお仕事をするんだ。みんなの家に電気がいかないとテレビでマンガが見られないからね。
『すぐ停電の修理が終ります。そうしたらテレビでマンガが見られるからね。』

お医者さんはもっといいなぁ。病気の人を治してあげられるから。僕もカゼをひいた時にお薬をもらって熱が下がったし、ケガをした時もお薬を塗ってもらって治ったからね。
『病院に来た人はみんな体温をはかってください。』
『いたい所はどこですか?』

学校の先生もいいね。
『みんな並んでください。今日は絵本のお勉強をします。みんなで順番に読みましょうね。そして、明日は運動会の練習をしますので、みんな体操服を持ってきてください。』

あっ、電車の運転手さんを忘れていた。
そうだ、今日はお巡りさんで、明日は学校の先生で、電車の運転手さんは学校の先生の次にしよう。
そして、新幹線の運転手さんは次の次にしよう。電車と新幹線のお客さんは、僕が運転手さんになるまで少し待っていてください。