丘の上でゴロゴロふわり(4)

2018-01-03 18:10:25 | 童話
そこから降りる時、最初はドスンと降りていたので足が痛かったが、両手を広げて降りるとゆっくりと降りることが分かったので、少し高く浮かび上がっても安全になった。しかし、お母さんは心配みたいだ。
『お昼にするわよ。降りて来なさい。』
とお母さんが僕達を呼んで、楽しいお昼ご飯にした。

美味しいおにぎりを食べているとお母さんが、
『危ないから、あの木より高く浮かび上がったらダメよ。』
と言ったので、僕とお姉ちゃんは、お母さんの言うとおりにした。
お昼ご飯が終ったらまた浮かび上がって楽しんだ。もうゴロゴロと転がらないでも、普通にしていてフッと息をすると浮かび上がるようになった。

僕は不思議なことに気がついた。
お父さんとお母さんは僕達が浮かび上がっているのが見えているが、他の人は見えないみたいで、普通のとおり家族でピクニックを楽しんでいる。
僕達は近くの少し高い木に浮かび上がって、湖を眺めていた。

『お姉ちゃん、高い木の上から湖を見ると、下で見るよりきれいだね。』
『そうね、きれいね。』
『あっ、小さな子供が湖のすぐ近くにいる、危ないよね。』
『そうよね。お母さん、小さな子供が一人で湖のすぐ近くにいるわよ。』
『あらそう。危ないわよね、教えてあげなくっちゃ。』
『もしもし、あなたの子供さんが湖のすぐ近くへ行っているわよ。』
『あらっ、大変。ありがとうございます。』
『お姉ちゃん、あの子が湖に落ちなくて良かったね。』
『そうね。』