靴達のおしゃべり(2)

2018-01-06 10:02:16 | 童話
そして、男の子が帰ってくると、男の子が履いていかなくて家に残していた靴たちが、男の子が履いていた靴にお話しをしているのです。
『今日はどこへ行ったの?』
『ずっと歩いたの、走ったの?』
そして、またワイワイガヤガヤとおしゃべりをするのです。

男の子が靴を脱いで、スリッパに履き替えるとスリッパが靴たちに自慢して、
『君達は時々履いてもらえるけれど、僕は帰ってくると必ず履いてもらえるんだよ。』
『毎日履いてもらえて、いいなぁ。』
すると、女の子のスリッパが、
『私も毎日履いてもらえるのよ。』と自慢そうに言いました。
『スリッパのみんなは毎日履いてもらえるから、うらやましいなぁ。』

すると、家の中の方の食器棚の中から、おちゃわんとお箸が、
『僕も毎日使ってくれているんだよ。』
『私も毎日使ってくれているわよ。』と言って自慢しました。
そして、さっきよりもワイワイガヤガヤの声が大きくなっていったのです。

そこに男の子がやってきて、
『僕は、いろいろな物を大事にするから大丈夫だよ。お父さんもお母さんも妹も、みんなを大事にするからね。』
『わぁ、うれしいなぁ、うれしいなぁ。』
そして、小さくなって履けなくなった靴や、古くなって破れた靴を捨てる時に、男の子と女の子が
『靴さんスリッパさん、今までありがとう。』
と言いました。
お母さんは、小さくなったが、まだ履けるきれいな靴を、靴を買えない外国の子供に贈る活動をしている所へ持って行くことにしました。

男の子が、『僕の靴はどこの国の子供が履いてくれるのかなぁ。』
女の子が、『履いてもらえるのねぇ。』と言ってバイバイをしました。
また玄関で、たくさんの靴がワイワイガヤガヤとお話しを始めました。

男の子が、『あの赤い線のあるスニーカーは、どんな子供に履いてもらえるのかぁ。それと、僕が気に入っていたブルーのスニーカーも履いてもらえるとうれしいなぁ。』と言うと、
女の子が、『私の真っ赤な靴は、大事に履いてほしいわ。』と言いました。
そして、玄関の靴達も、
『元気でね、バイバイ。』といってパタパタと床を鳴らしました。
みんなみんな、元気でね、バイバイ。

おしまい