靴達のおしゃべり(1)

2018-01-05 21:32:42 | 童話
この家の男の子が出かける時に、いつも玄関で話し声が聞こえてくるのです。
『今日はだれが履いていってもらえるのかなぁ?』
『昨日は君が履いていってもらったんだから、今日は僕が履いていってもらえるよ。』
『ちがうよ、僕を一番気に入ってくれているから、今日も僕を履いていってもらえるよ。』
『二人共ちがうよ、今日は僕の番なのさ。』

靴達がワイワイガヤガヤとおしゃべりをしていて、みんな自分を履いていってもらえるのを楽しみにしているのです。
だけれど、あまり履いてくれないので、さみしがっている靴がみんなとお話しをしています。
『みんなはいいなぁ、僕は雨の日しか履いてくれないんだよ。』とレインシューズが言うと、
『そうだね、僕達は学校へ行く時の靴や、サッカーをする時の靴や、きれいな服を着て行く時の靴があるけれど、みんな良く履いてくれるよね。だけれど、レインシューズ君はあまり履いてくれないよね。』
『そうなんだ。レインシューズと言う名前は、雨のレインと靴のシューズだから雨の日だけになるんだよ。』
『そうだね、名前を変えようよ。僕は【濡れない靴】が良いと思うよ。』
『僕は【晴れている時は履かない靴】が良いと思うよ。』
『僕は、【速く走れない靴】の方が良いと思うよ。』
『私は、【雨が楽しくなる靴】が良いと思うわ。』
『僕は、市場の人がみんな履いているので、【市場の靴】が良いと思うよ。』
こうして、みんなでワイワイガヤガヤとおしゃべりをしているのです。