丘の上でゴロゴロふわり(5)

2018-01-04 21:27:57 | 童話
『お姉ちゃん、湖の上のずっと高い所に白い大きな羽の有るおじいさんがいるよ。白いヒゲの長い人だよ。』
『本当だ。誰なのかなぁ。』
『おじいさん、あなたは誰ですか?』
『私はこの湖の精だよ。みんなが湖を汚さないように見守っているんだよ。』
『僕達がこうして浮かび上がることができるようになったのは、おじいさんがしてくれたの?』
『そうだよ。良い子で頑張っているから、遊びを一つあげたんだよ。』
『そうなんだ。湖の精のおじいさん、ありがとう。僕とお姉ちゃんは、いつまでも良い子にして、勉強や運動を頑張るよ。』
『そうだね、頑張れ。』

そして、もう家に帰る時間になったので、また4人で一列になって駅まで歩き、そして電車で帰った。
『お姉ちゃん、すごかったよね。ふわふわと浮かんでいたんだよね。』
『そうよね、すごかったわよね。』
お父さんとお母さんも電車の中で『不思議ね。』
『そうだね、どうしてなのかなぁ。』
とお話をしていた。
お父さんが
『あの丘は何か特別な力の有るパワースポットなのかなぁ。』
と言った。
だけど僕は
『違うよ、湖の精のおじいさんがやってくれたんだよ。』
と小さく言った。

それから、僕達は家の中でゴロゴロと転がってみたが浮かび上がらない。お姉ちゃんと手をつないで転がってみたが浮かび上がらなかった。
僕は今度また、あの丘へ行った時に、どれくらいの高さまで浮かび上がる事ができるのか、試してみようと思っている。
またいつ、あの丘に連れて行ってくれるのか楽しみにしている。

君もこの丘に来て、ゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロと転がると、湖の精のおじいさんが遊びをくれて浮かび上がると思うよ。
君もおじいさんに浮かび上がることができるようにしてもらったら、僕に教えてほしい。
そうしたら一緒に浮かび上がって遊ぼうね。

     おしまい