丘の上でゴロゴロふわり(2)

2018-01-01 10:43:38 | 童話
お父さんが案内板を見つけて
『湖まで5百メートルだって、頑張れ。』
と言って僕とお姉ちゃんを励ました。
『やっと着いたね。』
『そうね、思ったより遠かったわね。』
『ここは丘の上だから湖が良く見えるわね。』
『わ~い、わ~い、湖だ。』

そして、お父さんとお母さんは平らな所にハイキング用のビニールシートを敷いたので、僕達4人はシートに脚を投げ出して座りジュースを飲んだ。
『ここは高い丘の上だから空気が美味しいわね。』
『そうだね、ホッとするね。』
『お姉ちゃん、ここでゴロゴロと転がろうか?』
『いいわよ。』
2人で寝転んだままゴロゴロと転がった。

ゴロゴロ、ゴロゴロ。今度は反対にゴロゴロ、
ゴロゴロ、ふわり。
『あれっ、なんか変だなぁ。お姉ちゃん、なんか変じゃない?』
『ええ、そうね。なんか、ふわふわしたわよね。』
『うん、ふわふわしたよね。もう1回ゴロゴロしようか?』
『そうね。』
僕とお姉ちゃんはまたゴロゴロと転がった。
右回りにゴロゴロ、ゴロゴロ。左回りにゴロゴロ、ゴロゴロ。また右回りにゴロゴロ、ふわふわ。

『やっぱり浮かんでいる。お姉ちゃん浮かんでいるよ。』
『私も浮かんでいるわ。面白い、面白い。』
『お父さん、お母さん、僕とお姉ちゃんは今浮かんでいるんだよ。』
『何言っているの、気を付けなさいよ。』
とお母さんが返事をしたが、お父さんとお母さんは木が有るので僕達が見えないのだ。
僕達は降りてお父さんとお母さんの居る所に走って戻った。

『お父さん、僕達本当に浮かび上がったんだよ。』
『そうよ、ゴロゴロと転がっていたら、ふわっと浮かび上がったのよ。』
『はいはい、分かりました。あまり遠くへ行かないでね。』
『お母さん、本当だってば、こうやっていたら浮かび上がったんだよ。』
僕とお姉ちゃんは一緒にゴロゴロと転がって見せた。だけれど2人の体は浮かび上がらなかった。