たわごと~産業カウンセラーとして~

資格取得後もまだまだ研鑽の日々です。勉強会で感じたことを中心に、日々思う事や季節のことレシピまで自分を表現する日記です。

来談者中心療法

2010-05-18 08:11:10 | 来談者中心療法
基本に返って「来談者中心療法」。

ここのところ、興味深い講義をきく機会がたくさんあったのですが、
養成講座であれだけ学んだ「来談者中心療法」。
実はどこまで有効なのか…疑問がないとは言えませんでした。

ですが…今回の勉強会で佐治守男先生のカウンセラーの心構えを伝えていただき目からうろこでした。すごく納得できた自分にもうれしくなりました。

クライエントに向かうカウンセラーの態度として3つの重要な心構えを教えていただきましたが、それはすべて苦しみが伴うものでした。

一つ目は、
「慰めたり、激励したくなる誘惑をしりぞけること」です。

うつ状態にあるクライアントは、辛い、苦しい、自分はダメだなどと繰り返し話します。
「あなたはダメじゃないよ」などとつい慰めたくなってしまいます。

なぜ、そのような「誘惑」があるのかというと、

たとえば、「死にたい」気持ちを口に出しているクライアントに心から共感するということは、より一層死の方向に動かすのではないかというカウンセラー自身の不安な気持ち…
その不安にカウンセラー自身が耐えられなくなるからではないかというのです。

ここはすごい納得してしまいました。自分もきっと耐えられないだろうなと思うからです。

二つ目は、
クライアントの絶望感に共感するということは、カウンセラー自身も黒い底なしの地獄におちこむ感じを持ち続けなければならず、かといって、感情移入をせず、ある一定の距離をもつことです。

三つ目は、
「無力感の中に居続ける事」
絶望的になっているクライエントに何かすばらしい生きるヒントなど与えることなどできるわけがありません。
その無力感の中に居ながら、無力感の中に居続ける事は、カウンセラーに要求される最も困難な作業であるといいます。

この3つはどれも苦しい作業です。
よく考えれば、クライエントは、人生をかけてまで苦しんでいるのです。そのクライエントに対することが、楽であるわけはないのです。

養成講座の時には、よくわからなかったこの心構えに納得できた事は有意義でした。
自分の感情は脇に置いておくという意味。
そして、カウンセリングは技法やテクニックなどではなく、カウンセラー自身の心からの援助が、クライエントの絶望感の底から上を向いてみようかな…という気持ちを起こさせることができるのだということがはっきり分かった事。

ここがやっぱり基本です。

今は、少しでもここに近づけるように研鑽していきたいです。