ホリスティックヒーリング宙『心の扉を叩いてみたらきっと何かが見えるはず聴こえるはず』

ホリスティックヒーリング宙(sora)のヒーラー&臨床心理カウンセラー株本のぶこが心・心と身体について綴っています

思考で思考を変えるのではなくて

2009-11-22 11:42:50 | 心・身体・癒し
先月、BFAのワークショップの際に先生から、二冊の本を見せてもらった。
一冊は認知行動療法と身体感覚にアプローチする方法を取り入れた療法。もう一冊はトラウマをやはり身体感覚を大切にしてほぐしていくという内容だった。

早速ワークショップの帰りに書店により買い求め読んでみた。
読んでみて感じたのは、二冊ともBFAととても近い考え方、取り組み方をしているということだった。

認知行動療法は現在、うつに効果的ということから注目されている療法だが、簡単に説明すると、いわゆる歪んだ思考を思考によって修正していくというもの。

例えば、誰かが待ち合わせに遅れてきたとして、その理由を「自分が嫌いになったからではないか」「自分が何か相手に不快な思いをさせたからではない」などと憶測し、どんどんと悪い方へ思考がいってしまうのを、援助者が「もっとほかに理由が考えられないか」とその思考を修正していくように対話で気づかせ促していくのである。

実際、待ち合わせで遅れたひとは単に寝過ごしてしまったかもしれないし、交通渋滞に巻き込まれてしまったのかもしれない。電車がアクシデントで止まってしまい、交通機関を乗り継いで遅れたなどということは充分考えられる。
そうした考えられるさまざまな原因、理由に気づいてもらうことで、自分の思考パターンが偏っていることを認識してもらい、徐々に思考に柔軟性を持てるようにしていくのだ。

ただ、ここでちょっと気になるのが、思考を思考で修正していくというもの。
もちろん成果を上げているので、それに対して疑問をもっているわけではないが、難しいのは、そのひとがちょっと気分がすぐれない、体調が悪いと言いうときに、偏った思考が再び出やすい危険性がないとは言えない。

うつによって引き起こされた物事を悪い方、悪い方へと考えてしまうことを繰り返していると、自然に自分でも気がつかないまま、そうした思考を呼び寄せてしまう。
それを本では『自動思考』と言っているのだが、確かにうつ症状のひとに話を聞いてみると、ちょっとした出来事をとても重大に受け止め、過去の嫌な記憶が甦ったり未来への不安感に苛まれて、その渦中で大混乱してしまい、どうしていいか分からなくなるのだという。

そうなると、もう思考で思考を修正することはなかなか難しい。
本では、落ち込みそうな兆候に気づいたとき、そうした状況に陥ることを防ぐため、思考に絡み捉われているひとの意識を、身体感覚、身体症状に向けてもらい、自動思考のスパイラルを解くことを提案している。
さらに「落ち込みそうな兆候」にすばやく気づくために、瞑想をくり返しおこない身体感覚に繊細、敏感になれるようカリキュラムに取り入れてエクササイズをするように促しているのだった。

実際、これとは別に私のところでも、セルフワーク(BFA的瞑想)を毎日の日課として実践してもらっているひとがいるが、そのひとの話を聞いてみると、セルフワークをする以前は混乱の渦中にいたものが、「今、ここ」を感じ続けることで過去や未来に思考がいかず、現在では混乱している自分を不安感を抱いている自分を客観視できるようにまでなってきて、早い段階(一週間かかっていたものが二日間)で混乱や不安感から抜け出せるようになってきているという。

思考を思考で説得するのではなく、「今、ここの自分」を感じることによって、今、生きている自分を実感。
それによって、過去の記憶や未来への不安ではなく「今、自分はこの状況でどうすることがいいか」のほうに考えが向くようになっていくのだ。

この本が出版されてまだ二年ほどしかたっていないことを考えると、まだまだ認知されるには時間がかかるだろうが、実際にBFAを提供している立場として効果を実感しているだけに、いずれ認知されることを大いに期待したい。







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