コーマワーク(意識障害・昏睡状態の人との対話)のセミナーには、さまざま職種、立場の人たちが参加した。
講師の二子さんも、ご自身のブログで触れているが、13名の参加者はそれぞれ、医療現場にいる方、ご家族が昏睡状態にある方、子供と関わるお仕事やセラピスト、コーマワークをすでに提供している人、年齢も20歳のお孫さんとそのお祖母さまというペアなどなど…バラエティ豊かな顔ぶれであった。
セミナーでは、始めに二子さんのレクチャーがあり、そのあとは参加者がそれぞれペアを組み、昏睡状態にある人、ワーカーという両方を経験しながら、エクササイズをいくつも体験していった。
それによって、今まではまったく想像すらできなかった繊細な感覚が自分自身のなかにあったことに驚いたり、ある体験によって自分の感覚が、ある瞬間から研ぎ澄まされていくのを体感したり、また昏睡状態の人の立場を体験したことによって、身体が動かせないこと、暗闇にたったひとりで存在しなくてはいけないという現実に直面したとき、ひとはどれほどの孤独と不安を抱えていくかということまでもを体験(想像の域は超えないという限界はあるが)できたことは、大きな大きな発見であり、収穫だった。
それと同時に、二子さんから現実にあったこととして聞いた実例は、たとえ意識障害であっても、昏睡状態であっても、意識障害や昏睡状態から覚醒したり、ある程度自分の意志を周囲に告げることができるようになる可能性があることを私たちに教え、私驚きと感動を与えてくれるものだった。
決して夢物語ではない、現実にあった話はそれだけで説得力をもつ。
それだけに、あの日、参加されたご家族が昏睡状態にある方などはおそらく、そこに希望の星を見出して帰られたのではと想像するが、一方で、これがおそらく社会のコーマワークへの眼、見方なのだろうと感じた場面もあった。
それは科学的な背景や裏づけがないということで、現実に昏睡状態から醒めた方や、呼びかけても反応がなかったものが、わずかな眼の動きや方向、指をちょっと曲げる、動かすといった反応を見せるようになった方が存在するにも関わらず、その事実をなかなか受けいれられない、認められないとする声だった。
実はこのことについては、私自身、以前も同じようなことを医療の知識を持ったひとから言われ、否定されたという体験があった。
それは昨年の春に出版した、自著「たおやかに生きる」のなかで書いた「昏睡状態の人と対話する」についての文章についてだった。
本を読んだ医療に従事するひとが、私が書いたことはおかしいと指摘、昏睡状態の定義から始まり、身体を通してさまざまな方向から測定されること、それによって上がってきた数値によって、状態が判断されることを説明。昏睡状態の人と対話する方法があること自体、有り得ない認められるものではないと話したのだった。
医療に関わる人にとってデータや診断は、症状や容態を判断する上では最も重要なものであろうことは、容易に想像できる。それゆえ、データや診断によって意識の回復は不可能と判断された人が、意識を回復すること自体、科学的には有り得ないことであり、その可能性を説いているコーマワークは、その根幹を揺るがすものとして
到底受容れられないものなのかもしれない。
しかし、現実にコーマワークによって意識が回復し、対話ができるところまではいかなくても、家族や身近な人と意志の疎通が可能となったひとは存在するのである。
目に見えるものがすべてではなく目に見えないものにも真実があるように、科学的見地で説明できること、解明できることだけが真実ではなく、科学では説明できないことにも真実はあるといえるのではないだろうかと、私はそう思う。そして、そのことを今回、コーマワークのセミナーに参加して、尚一層強く感じて帰ってきたのだった。
コーマワークを知るひとはまだまだ少数である。もっともっと、コーマワークの存在が広く知られ、多くのひとに認知され、医療現場においても、ひとつの意志の疎通のツールとして提供されるようになって欲しいものだ。
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