「縦横無尽」 フローレ21社長のコラム

花の仲卸フローレ21社長小池潔がつれづれに語ります 快調に更新中

これからの10年

2006-10-28 16:02:34 | Weblog
先日のブログでも少し書いたが、「47都道府県の過去10年間の経済成長力」のデータをもう少し突っ込んで分析したいと思います。

この10年で花も含めた農業産出額増減率(1994年~2004年)で最も高かったのが沖縄で、それでも78億円10年間で減っている。
全都道府県全てがマイナスで宮城県などは1000億円も減らしている。
日本全体でこの10年2兆円を越える金額を減らしている。
当然その要因として、輸入品や農村の高齢化、価格の低迷などが上げられると思う。
てんぷらそばを食べると90%以上が輸入品だと比喩される、そば粉、えび、小麦粉、醤油を作る大豆、砂糖まで、ほとんどが輸入品である、日本の食料自給率は年を追うごとに低下し60%を海外に依存している。
食の安全、この先の世界的な食料不足を危惧するなら、日本の食料自給率をもっと上げる国の施策が望まれるところである。

次に我々に関係する統計でいうと「小売商業販売額増減率」である、こちらも10年間で十兆円も減らしている。
増やしている都道府県は、沖縄、長崎だけで45の都道府県が減らしている。
減らしている最大額は大阪の1兆3000億円、東京、兵庫が7000億円、北海道、広島、千葉、静岡が5000億円など、売上の低迷に苦しんでいるス―パ-、百貨店の状況がよく解かる、当然花の小売店もしかりである。
国内消費は給料が上がり、不可分所得が増え、将来に対する不安要素が少なければ、消費は増える、しかしながら年金に対する不安、医療制度の改正に伴う負担増、介護制度改正に伴う負担増、更に今後の消費税の大幅増税を考えると、今後の10年も小売業の苦戦は続くと見なければならない。
おらく、消費税が10%になると価格に転嫁できなくなる、中小零細な小売り店の多くが廃業を余儀なくされるだろう、ヨーロッパの例でも、「付加価値税」の施行と前後して中小零細な小売店がなくなった経緯がある。

次が「卸売業販売額増減率」で我々仲卸もこの分野に属する、ここでも47都道府県が軒並み10年間で売上を減らしている。
いままでよりも更に深刻な数字である、30%以上減らしている都道府県は12府県、大阪、兵庫、京都などの関西地域、愛知、静岡など中部地域、福井、富山、長野など北陸信越地域、福島、山形、秋田の東北地域、関西以東に偏った形であらわれている。
卸売業自体の存続を揺るがす状況である、おそらくこの10年でたくさんの卸売業が倒産の憂き目にあっただろうということがわかる。
今後の10年の中でこの傾向は更に強まっていくと思える、問屋無用論がさけばれて、問屋の機能とは何か?我々も考えつづけてきた、しかし現実は流通過程を1箇所減らす事で価格は安くなる、これでのコスト削減が計られて来た。

それでは増えている業種は、「サービス業事業所数増減率」を見てみると良くわかる。
全国津々浦々、ものすごい成長ぶりである。
東京、埼玉、千葉、神奈川は50%を越える伸び率である、愛知60%岐阜50%を超えている、沖縄も60%を超えている、関西地方で50%を超えているには兵庫だけ、ここでも関西地方の沈下がみられる。
これらの統計から我々は今後、業態をどのように変化させれば良いのか、ヒントがあるように思える。
仲卸でいえば、ものを右から左へただ動かすのでなく、新しいサービスをいかに付加するかが望まれている。
今後の私達の仕事は、きょくたんにいえば、どれだけサービス業に徹する事が出きるかだと思う。
今、している仕事や商品に新しいサービスをどれだけ付加し、その対価をお客さんに認めていただけるかが生き残りの重要なポイントのようである。
農業の従事しているものも、小売店も、これらの事が重要になってきている。
私達がこの先の進路を考えるとき、雰囲気や思惑で判断せず、統計や調査など科学的資料に基づき、こうであろうという仮設を立て、実行していく事が大切である。