藤田けい☆幸せブログ

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明るい気分になってもらえたら嬉しいです。

電車の中の蝶

2011年09月16日 | 日記
先日の午後、近鉄奈良駅のホームに蝶が飛んでいました。
地下駅のホームですから、多分電車に乗って迷い込んできたのでしょう。
茶色と白のはっきりしたコントラストが綺麗な『コムラサキ』でした。

 「可哀想だなあ」と思いました。
奈良駅は広く、地上まではとても遠いので、蝶が外へ出ることはまず出来ません。
高いホームの天井や、列車を待つ人達の頭上まで降りてきたり
元気一杯飛びまわっていました。

私が乗る電車のドアが開いた時、なぜか蝶も一緒に乗り込んできました。
 「これで助かるかも・・・」 ほっとしたのも束の間、
蝶は電車の天井の照明付近をせわしく飛び始め
車両の端から端まで、行ったり来たり、必死で出口を探しています。

座っている乗客もうっとうしそうで、メールをしていた女性などは
舞い降りてきた蝶を、手で乱暴に払いのけています。
どこにも安住の地がない蝶は、パニックになって、狂ったように飛び回っていました。

あまりに可哀想だったので、立ち上がって、蝶に向かって、腕をゆっくり差し出してみました。
すると、まるで吸い寄せられるように蝶が飛んできて、私の右手にとまりました。

そのまま席に着くと、隣に座っていた若い女性が
 「不思議ですね! じっとしてますよ」と、話しかけてきました。
向かいに座っているビジネスマン達も、思わず笑顔に。

昆虫は、人間の気持ちが分かるんですよと言いたかったけれど、恥ずかしいので(笑)
 「きっと疲れて、休んでいるんですね」と、彼女に笑いかけました。

蝶は、電車が発車しても私の手の上で、安心したようにじっとしています。
やっと地上にある新大宮駅に着いたので、ゆっくり立ってドアに近づき
蝶を外へ放ちました。

新大宮駅で電車を待っていた人達も、すぐに事情が飲み込めたらしく、
みんな端に寄って、蝶が飛んでいくまで待ってくれました。

 「ほっとしました。ありがとうございます!」
席に戻ると、笑顔の彼女が、蝶の代わりにお礼まで言ってくれて
幸せ気分倍増の午後でした。