おうちギャラリー

郵便受けに、無地の分厚い封筒が入っていました。
宛名には、
　『愛する友　藤田様』　
住所は無く、ただそれだけが、銀色のペンで書いてありました。

中身は、20枚以上あるポストカード。
市販のもので、すべて同じフォトグラファー名が印刷されていました。
隣町に住んでいる女性・Ｔさんの息子さんのお名前です。

Ｔさんからのプレゼントでした。
封筒の裏に、
　『息子の作品です。使って頂けたら、嬉しく思います
　　　いつも優しく声をかけてくださり、励ましに感謝しています』
銀色の、流れるような美しい文字で、メッセージが書いてありました。

胸がじ～んとしました。
なぜかＴさんとは、道でよく会うのです。
事故の後遺症で、少し不自由な足をかばいながら、いつもゆっくり歩いておられます。
年齢は多分、私の母と同じくらいでしょうか？

上品な物腰と優しい笑顔に、いつも癒されています。
立ち話するうちに仲良くなり、手作りのアップルケーキを届けて頂いたことも・・・

息子さんにお会いしたことはありませんが、彼女からいつも話を聞いていました。
作品は、母である彼女が持つイメージと同じ優しさがあふれていました。

枝に一枚だけ残って寂しそうな紅葉、ネジ花など繊細な野の花、ススキの曽爾高原の夕暮れ・・・
20枚以上あるポストカードそれぞれにストーリーがあって
詩集をめくっているような気持ちになります。

ホルダーに立てたり、フォトフレームに入れて、さっそく飾りました。
目にするたびに、Ｔさんの笑顔まで一緒に浮かんできて、ほんわか優しい気持ちに・・・。
我が家の『おうちギャラリー』、とっても気に入っています。