ニュージーランド対ナミビア

ラグビーW杯、ニュージーランド(以下NZ)対ナミビアのビデオを見ました。世界最強の呼び声高いNZですが、この日は大きくメンバーを落としており、SOにはBバレットもモウンガも不在でした。代役のSOはBバレットの弟、Jバレットですが、本来FBなのでゲームメイクやキックはどうかという懸念はありました。

そのため、NZはすべてのFKでトライを取りに行きました。トライの5点が取れれば、たとえJバレットがコンバージョンを外しても良いという考え方でしょう。それで、本当にトライが取れるのがNZの強みで、キックパスのような難しいプレーを難なくこなせるところがさすがNZです。Jバレットはコンバージョンを2つ続けて外しましたが、それでも構わないというベンチの意図でしょう。

もっとも、この試合では、ほぼ全員がアマチュア選手というナミビアが予想外の健闘も見せた展開でした。先制点はPGでナミビアに入り、前半だけで3つのPGを決めてNZに少ない点差で食らいつきました。もっとも、ナミビアはバックスに回すラグビーをしたかったようですが、NZの守備は堅く22mラインをなかなか越えさせてもらえませんでした。

NZの強さが感じられたのは、そのスクラムの強さでした。最初に8人対8人でスクラムを組んでいた場面では、ナミビアのスクラムを押し込んでターンオーバーが取れるなど強さを見せましたが、驚いたのはNZにシンビンが出ていた10分間のスクラムでした。NZはバックスではなく、フランカーを一人減らす手を選び、スクラムを7人で組む劣勢覚悟の手で来たかと思われました。

しかし、それもベンチの計算通りでした。NZは驚くべきことに、7人のスクラムで8人のナミビアと互角に渡り合ったのです。スクラムはまったく押されず、NZボールのスクラムでは何事もなかったかのようにマイボールをキープできました。これでは、ナミビアが数的優位を生かしてトライを得るなどは夢のまた夢でした。

前半終了間際にNZがナミビアを自陣に押し込むと、そこから2トライで突き放し、終わってみれば24-9とそれらしい差をつけて後半戦に突入できました。やはり、優勝を目指すNZと、W杯通算成績0勝21敗のナミビアでは力の差は否めないと感じざるを得ない、ラグビーの内容の差でした。