来る6月30日、宮中はじめ全国通津浦々の神社では「夏越の大祓」が行われます。日常生活のなかで知らず知らずに犯してしまう罪やけがれを、6月30日と12月31日(年越の大祓=としごえのおおはらえ)の年二回お祓いする行事です。6月を夏越、12月を年越と呼んでいます。日本最古の歴史書である『日本書紀』にも記載がある伝統的な祭典です。
人は認知して犯す罪とは別に、日々、他の生物の生命の犠牲によって「生かされ」ています。それ自体「無知の罪」ともいえるのです。
人間は、正しさの中に成り立っています。そして不正は、やがて正しさの中に没していくものでもあります。これが人間のあり方です。
しかし他人は見ていなくても、自分の不正は、少なくとももう一人の自分が見ることができるはずです。
だから人間は、常に声なき声に耳を傾ける謙虚な心の持ち主でありたいと願うのです。
自らを省み、自我むき出しで余裕のない生き方を戒めることも、大祓の重要な意義であるといえます。