小網神社blog

東京・日本橋に鎮座する強運厄除の神さま・東京銭洗い弁天の社 小網神社のブログです。

生きるしるしある人生

2015年07月22日 | 小網神社教学
生あるもの必ず終わりがありまう。これは例外なく、我が身にも起こる現実です。
某住職さんから、人の最大の不幸は「この世」に生を受けたことで、最大の幸せは「生まれて来ないことである」という噺を聞いたことがあります。

余命を医師に告知され、自らの残された研究を進め、この世を去った宗教学者の岸本英夫先生の晩年のことを、先代の宮司である父から聞きました。
死を目前に、健康な時よりむしろ意欲的に、そしてたくましく人生を燃え尽きた、その学者精神に頭が下がったといっていました。
また、先代の話では、「日本のピカソ」と呼ばれ、フランスで名を挙げた今井俊満画伯も同じで、死を前に情熱的な創作活動を続けられたそうです。
二人の偉大な人生を見た先代も、自らも生きるしるしある人生を望んでいました。

人は、家族、集団の中に属して人生を送ります。
生きるしるしある人生とは、自らを知り、家族や社会を思いつつ、自らを生き切ることにあるのではないでしょうか。
当神社歴代の宮司は、岸本博士や今井画伯のような華々しい足跡を残したわけではありません。
しかし、この度の社殿修復にあたり、各宮司がが等身大の神職を務め切った姿を、過去の社務日誌などから感じ取ることができました。
これらは地味なものではありますが、かならず後世に語り継がいでいかねばならないと思っています。

この世に生を受けることは、決して不幸ではない、と確信しました。


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