2016/9/10: 房総半島南部の山あいに日本棚田百選に選定されている「大山千枚田」(千葉県鴨川市平塚)がある。高台から見ると、多くの田んぼがきれいな曲線を描いていて実に美しい眺めである。長方形や直線で仕切られた田んぼは一枚も見当たらない。例年田植えは5月の連休の時期に、稲刈りは8月下旬から9月上旬にかけて行われているが、この秋は台風10号の関東直撃などにより収穫作業はさぞたいへんであったと思われる。田植え・稲刈りなどはすべて、地元農家の人たちの指導のもとに昔のままの手作業で行われる。水はすべて「天水」(自然水)利用である。
全国的に里山の棚田の維持はたいへん困難な状況が続き、「日本棚田百選」選定の棚田であっても地元農家だけではとても運用は難しく、雑草で覆われた「休耕田」が増え続けているという。そのような状況の中で、「棚田保存会」などの努力により「棚田オーナー」を募集して維持管理に努めているところが多い。大山千枚田では「棚田倶楽部」「棚田保存会」の熱心な活動を中心に年間を通して学校などの体験学習や自然学習、各種イベントなども行われ、県内外からの多くの棚田オーナーが集まって棚田での作業もにぎやかに実施されている。
今年は9月3日・4日が棚田オーナーの稲刈りの予定日となっていた。10日はほとんどの田んぼの稲刈りは済んでいたが、いくつかの田んぼで稲刈りや刈り取った稲束を乾燥させるための「はさがけ作業」、そして脱穀作業も数ヶ所で行われていた。畦道にはちらほらと彼岸花が咲き始め、気温は真夏日でも秋の雰囲気が着実に深まっているのが感じられた。
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