梅ヶ瀬渓谷入口から大福山(標高292m)山頂への一車線の山道を慎重に上がって行った。幸い下りの車と一台も出会うことなくなんとか無事に頂上直下の狭い休憩場所までたどり着いた。この大福山山頂を中心として、小湊鉄道「養老渓谷駅」まで5.4㎞、「月崎駅」まで8.4㎞の深い房総の山中を歩くハイキング道が整備されている。またこの地点から断崖のような急斜面を降りていくと、梅ヶ瀬渓谷最深部の「旧日高邸跡」まで下ることができる。ところがここにも下り道入り口にはロープが張られ、「この先階段崩落・キケン・立入禁止」の掲示が出ていた。けっきょくこの日は梅ヶ瀬渓谷には台風被害でまったく立ち入ることができなかった。深い渓谷道や断崖の崩落事故となれば、残念ながらこれから相当長い期間立ち入ることはできないだろう。
この休憩場所の隅には、写真のような高さ2メートル以上はありそうな立派な石造の顕彰碑が建てられている。明治18年にこの地に入り、大正4年80歳で没するまでこの奥深い地に理想郷をつくることを志し、地元の村の振興や県内各所からの多くの青少年が寄宿して学ぶことができる「梅ヶ瀬書堂」を建てて尽力した偉人日高誠實(ひだかのぶざね)の顕彰碑である。
(***梅ヶ瀬渓谷最深部の書堂などの建物があった「旧日高邸跡」地と渓谷沿いの紅葉風景など今回は撮影できなかったのですが、昨年の紅葉最盛期の11月28日に訪れた時の写真を、昨年12月1日と2日の更新記事に載せてあります。お時間がありましたらどうぞご覧ください。)
休憩場所の向かいの坂道をすこし上ると大福山展望台がある。さすがにここは台風の風当たりが猛烈だったのだろう。道脇の木々は根こそぎなぎ倒されたままになっていた。大福山の標高は292mでも、この展望台からは東西南北ぐるりと遥か彼方まで房総の山々や海岸線などの絶景を見渡すことができる。
[参考]:千葉県(房総)の最高峰は標高408.2mの嶺岡山系愛宕山で、これは全国都道府県の最高峰の中で最も低い。
山頂付近でゆっくりと時間を過ごしてからまた慎重に坂道を下って養老渓谷方面へ向かった。