内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「大事なことは主流にならぬことだ」「枝葉のなかに大切なものがある」― 呼応する渋沢敬三と宮本常一の言葉

2021-08-08 22:54:58 | 読游摘録

 今朝も昨日同様、1時間12分で12キロ走る。途中ちょっとダレてしまったので、最後の500メートルほど、ほぼ全力疾走した。夜明け前の曇天下、体感に過ぎないが、ジョギング中の外気温は15度前後だったと思う。日中は晴れたが、気温は低いままで20度越えたかどうかというところ。
 佐野眞一『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』(文春文庫)をここ数日読んでいる。二人の伝記的事実を知れば知るほど、この書名はけっして誇張ではないと思う。と同時に、彼ら二人が「忘れられた日本人」になってしまったかのような日本の現状を憂えないではいられない。
 渋沢が宮本に語りかけた言葉として同書に引用されている次の言葉は、二人の生涯を知った上で読むとき、なおのこと心に深く響く。

大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況をみていくことだ。舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたもののなかにこそ大切なものがある。それを見つけてゆくことだ。人の喜びを自分も本当に喜べるようになることだ。人がすぐれた仕事をしているとケチをつけるものも多いが、そういうことはどんな場合にもつつしまねばならぬ。また人の邪魔をしてはいけない。自分がその場で必要を認められないときは黙ってしかも人の気にならないようにそこにいることだ。(88‐89頁)

 宮本が若い人によく言っていたという次の言葉は渋沢の上の言葉と呼応している。

樹をみろ。いかに大きな幹であっても、枝葉がそれを支えている。その枝葉を忘れて、幹を論じてはいけない。その枝葉のなかに大切なものがある。学問や研究はあくまで民衆や庶民の生活を土台に築き上げるものだ。(366頁)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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