内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

明後日の発表原稿とパワーポイントは、ほぼ完成。でも、結論はあえて書かなかった ― なぜ?

2018-11-18 21:01:05 | 哲学

 明後日火曜日のパリ・ナンテール大学での発表原稿は、今日の午後、一応形になった。パワーポイントもほぼ仕上げた。
 その時点で、午後三時半。まだ時間に余裕があった(パリに向かうのは、明朝一番のTGV)。でも、原稿は敢えて仕上げなかった。結論を空白のままにした。結論のあらましは、もちろん頭の中にある。それでも、書かないことにした。
 そして、夕方、久しぶりに湯船にゆっくりと浸かり、夕食時には、いつものようにワインを一本空け、今、いい気分である。
 なぜ結論を書かなかったか。今晩、寝ている間の「熟成」を待つことにしたからである。なに呑気なこと言ってるの、ワインじゃあるまいし、って思われたかも知れない。しかし、思考にも「寝かせる」時間が必要だ、と私は考える。
 結論だけの話ではない。今回、原稿書き始めたのは、昨日土曜日朝である。それまで、何週間と、「ああ、早く書かなきゃ」と焦る気持ちにずっと追い立てられてきたのだが、なんと言えばいいのか、「臨界点」に到達しないと、思考が展開してくれないのである。
 その間、ボーっとしていたわけではない。それどころか、何か月間と、いつも頭と心のどこかに今回の発表のことが引っかかっていた。だったら、さっさと書いてしまえばいいじゃんって普通思うだろう。確かに、この期間に、ぐずぐずしないで、さっさと手際よく原稿を書いてしまえば、それはそれで精神衛生上いいことだし、きちんとしたものが書けるかもしれない。
 でも、それでは何かもの足りない気がする。「コク」がないというか(あれっ、まだ酒の話しているの?)、そう割り切れたものじゃないでしょ、という蟠りというか……。
 この愚図愚図とした「引っかかり期間」がとても大事だと私は思うのである。これは、苦し紛れの屁理屈ではない。
 とはいえ、ぎりぎりになって書いたら必ずいいものができるかといえば、もちろん、そうは問屋が卸さない。今回だってわからない。
 でも、その場で湧出して来るものにこそ、思考の醍醐味がある、そう私は思う。幻想だろうか。













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1 コメント

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そうですね… (あ*=franoma)
2018-11-19 09:58:37
先生、それは決して幻想ではありませんよ。私事でアレですけど、私は、立教大学時代は発表原稿は余裕をもってチャッチャと仕上げていたものの、名古屋大学のU研に行ってから反省して「余裕を持って仕上げれば良いというものではない」と思うようになりました。特に粟木さん(今は@愛媛大学)の動きを観察して、観測プロポーザルや国際学会申し込みも最後ギリギリまで考え抜いてから…格好悪いけどコピー取りから名古屋の中央郵便局の窓口に車を走らせるところまでU研チームのメンバーさんで助け合って「間に合ったぁ」という当人&チームのメンバー全員の達成感!は生きている実感と直結していましたねえ…体育会系のノリですけど。

どうも、お邪魔しました。
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