内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

開店休業のお知らせ

2021-03-26 23:59:59 | 雑感

 来週の授業はすべて休講にした。理由はひとつである。来週金曜日の博士論文の審査レポートに一週間全神経を集中するためである。LES LOGIQUES ABSURDES. Essai sur les logiques non-aristotéliciennes(不条理な諸論理 ― 非アリストテレス的論理試論)と題されたこの論文は、六四〇頁の大作であり、古代から中世を経て現代に至るまでの西洋哲学の論理を縦横に論じ、それらの間に新たな連関を付けるばかりでなく、龍樹の中論も出てくるし、京都学派の西田・田辺・西谷・山内には総計百数十頁が割かれている。京都学派とも関連の深い数学者末綱如一も登場し、その論文の一部の仏訳が補遺として収録されている。まことに大河ドラマのような大論文なのである。京都学派を直接の対象とする第三部には、私の論文も十数箇所引用されている。その部分の評価を担当するのが審査員ととしての私のミッションである。はっきり言って、授業の準備などしてる暇はないのである。緊急性のない雑用もすべて来週金曜日以降に処理する。
 今日の授業では、休講に関しての「説明責任」を果たすべく、学生たちに「まことに私の時間配分のミスであり、そのことで君たちに迷惑をかけてしまうことを恥ずかしく思う」と説明した。心優しい学生たちは理解を示してくれ、「先生、頑張ってください」と激励の言葉をくれたり、「明日からお邪魔しないために、今日中に質問します」と気を使ってくれたりした。もちろん、補講はするが、それは五月に入ってからである。
 というわけで、明日から来週金曜日まで、このブログは開店休業状態になります。生きているサインという意味もこのブログにはあるので、毎日投稿は継続しますが、せいぜい数行の他愛もない話か、審査対象の論文の話に限定されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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