内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

雨上がり、二年ぶりの再会、微睡みの午後 ― 夏休み日記(20)

2015-08-21 05:00:00 | 雑感

 昨日の午前中はずっと雨であった。雨脚も強く、傘を持っていない私は、とても外出する気になれない。鈍色の空の下、ホテルの部屋から見下ろせる東駅前のバスターミナルの路面が雨で光り、行き交う人たちの雨傘が交叉するのをぼんやりと眺めていた。
 その雨も昼には上がり、空が少し明るくなり始める。昼は、ちょうど同じ日に日本を発ち、フランスに三週間ほど滞在する友人家族と、かつて彼ら夫婦がパリに留学生として暮らしていたときに初めて一緒に行ったベルヴィルのタイ料理レストランで会食した。日本を発つ前に予め約束しておいた二年ぶりの再会であった。二年前に鎌倉のお宅を訪ねたときには一歳四ヶ月だったご子息も元気に成長していて、今回は一緒に楽しく会話することができた。本当に良きご家族である。彼らは明日ブルターニュに発つ。
 レストランを出ると、午前中は半袖では寒いほどだった気温も上昇し始めているのが肌で感じられた。友人家族と別れた後、ソルボンヌ界隈の本屋をひやかして歩こうとした。まずかつての行きつけの古書店に行ってみた。この店では哲学関係の新古本に定価の半値が付けられていて、パリに暮らしていた頃はよく買った。ところが、哲学関係の本が並ぶ棚が縮小されている。それを見るのは寂しかった。心なしか浮かない顔をした店主が窓外をぼんやり眺めている。こちらはこちらで、やはり前日の疲れが出たのか、本を手にとって見る気になれず、メトロでホテルに戻り、午睡した。
 夕暮れに目覚めて、ホテルの窓から空を見上げれば、青空が広がっている。ミネラルウォターを一本買いに外に出る。路面はもうすっかり乾いている。風はまだひんやりとしていて、寝覚めの肌に気持ちいい。
 今日は、かつての勤務校から車で十五分ほどのところにあるゴッホ終焉の地 Auvers-sur-Oise を、北駅から電車に乗って訪ねる。ゴッホ兄弟が眠る墓地など、ゴッホゆかりの場所を案内する。天気予報によれば、晴れ、気温も日中は三十度まで上がる。良き一日の吉兆である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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