内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ゴッホ終焉の地 Auvers-sur-Oise 訪問記 ― 夏休み日記(21)

2015-08-22 12:32:06 | 雑感

 今日の記事は、ストラスブールに向かうTGVの中で書いている。
 昨日は、午前十時に北駅で待ち合わせて、H線で Pontoise までまず行き、そこで Persan Baumont 行に乗り換えて Auvers-sur-Oise の一駅手前の Chaponval 駅で下車。この駅で降りたほうが、Maison du docteur Gachet(「ガシェ医師の家」)に近い。徒歩十二三分ほど。この家からの眺望は、ゴッホばかりでなく、セザンヌによっても描かれている。入場は無料。
 そこから Château d’Auvers-sur-Oise へ。ここは、近年「印象派の時代への旅」と銘打って印象派の歴史的紹介に力を入れていて、ヴィデオ・写真・模型・当時の道具の展示等を巧みに組み合わせたその館内は、訪問者を飽きさせない。庭園からの眺望も悪くない。入場料は大人 14€25。
 次に見学したのは、ゴッホが一八九〇年五月二十日から七月二十九日までの生涯最後の二ヶ月余りを過ごした旅籠 Auberge Ravoux の二階の部屋。建物全体は現在 Maison de Van Gogh(「ヴァン・ゴッホの家」という名のゴッホ記念館になっている。ゴッホがそこで寝泊まりし、息を引き取った部屋は、当時のまま保存されている。訪問者たちは、わずか7m²で天井に小さな明かり窓があるだけのその部屋の小ささと質素さに驚く。その部屋の中でガイドの説明を聴く。
 その最後の二月余りの間、ゴッホは毎朝五時に起きて、画を描きに出かけ、午後九時にレストランに食事を取りに戻り、その後自室で弟テオへの手紙を書き、就寝という毎日を過ごした。この二月余りに八十枚近い画を描く、つまり一日一枚を上回るという驚異的な創造力を発揮する。その中に今日誰もが知っている名作の数々が含まれており、有名な L’Église d’Auvers-sur-Oise「オーヴェールの教会」の画などは、なんと二時間で描き上げたという。
 「ヴァン・ゴッホの家」の見学を終えた後、そこから徒歩数分のところにあるオ―ヴェール教会を訪ね、さらにその教会から徒歩四五分ほどの高台にあるゴッホ兄弟が隣り合わせに葬られている墓地を訪ねる。
 Auvers-sur-Oise 駅から乗る帰りの電車を待つ間、その駅の脇にある元は倉庫らしい建物とそれに接続する形で連ねられた三両の古い電車の車両の中にありとあらゆるジャンルの本がところ狭しと並べられた、 « La Caverne aux livres »(「本の洞窟」)という名の何とも不思議な古本屋を覗いてみる。訪問客は私たちの他にも二三人いたが、店主はどこにも見当たらない。そろそろ電車の時間が迫ってきたからと帰りかけると、髭をたくわえているがまだ若そうな店主らしき人がどこからか戻ってきたが、すぐに二階に上がって、また姿を消してしまった。
 往路と同じように乗り換えて、パリ北駅に戻り、昨日と同じベルヴィルのタイ料理レストランで夕食。昨日同様、いつも変わらぬ美味しさ。十一時半頃まで楽しく会食。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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