内的自己対話-川の畔のささめごと

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生命は孤立した個体ではない ― ジルベール・シモンドンを読む(83)

2016-05-30 05:50:09 | 哲学

 昨日読んだ段落に提示されていた物の見方から導かれる最初の帰結は以下の通りである。
 物理的システムに含まれた組織化のレベルは、生物的システムのそれに劣る。しかし、物理的個体は、場合によっては、生物的個体のシステムの組織化のレベルより高度でありうる。それは、生物的個体のシステムがより広大な全体の中に統合されている場合である。理論的には、物理的システムと生物的システムとの間に交換・交代の可能性を否定することはできない。
 とはいえ、この仮説が有効であるためには、物理的個体としての統一性が生物的集団に変容することが想定されなくてはならない。さらには、ある意味において、物理的存在の発展の中断とその存在の分析が生物を発生させると考えなくてはならない。つまり、すでに完成された物理的個体をいくら集めたところでその総合が生物を発生させるのではない、ということである。
 もしこのように考えてもよいのなら、きわめて複雑な物理的構成体のみが生物に自己変容する可能性をもっていると言わなくてはならない。こう考えれば、自発的生成が可能な場合を大幅に限定することになる。このような見方によれば、生命としての統一体とは、組織化された完全な集団であり、孤立した個体ではない、ということになるだろう。





































































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