内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「アホ」リズム(一)― 食物連鎖の「頂点」

2022-04-13 04:45:53 | 哲学

 食物連鎖が自然界の「掟」であるとすれば、捕食者の捕食行動はその掟に従っているだけのことで、何ら非難には値しない。生物としての人間もその連鎖の一環を成しているかぎり、その捕食行動は他の捕食者においてと同様に「正当」であり、批判される謂れはない。その捕食が生命維持に必須な要素の最低限の摂取であればなおのことである。
 人類は、この食物連鎖の頂点に立っている(と錯覚している)。したがって、猛獣に襲われるなどの不幸な事故に遭わないかぎり、食べられることはない。人類はいつも食べるものの側に立っている。しかし、動物界にも、一方的に食べるものの側に立ち、他の生き物に食べられることのない「猛者」たちもいるから、この頂点は人類によって独占されているわけではない。
 それに、頂点に立っているからといって、すべてが許されるわけではない。何をどれだけ食べようが自由だというわけではない。過剰な捕食行動はいつか食物連鎖の均衡を脅かすに至るからである。つまり、継続的過剰捕食は捕食者側にとって自殺行為になりかねない。
 だから、動物界の「賢い」猛者たちは、必要以上には食べない。