北京五輪競泳で前人未到の8冠を達成した米国のマイケル・フェルプス(ふざけてヘルペスなんて言ってみたりするが、)。
そのフェルプスに関する記事(18日読売新聞)を読んだ。
少し長いが全文を紹介したい。
『 夢の中を、歩いている人のようだった。
偉大な歴史を作った瞬間、フェルプスには大きな笑顔も、派手なポーズもなし。
勝利をチームメートとたたえ合った後、全選手が歩き出す喧騒の中で、一人自失したように立ち止まり、両腕を静かに天に伸ばした。
見つめていた観衆の、大歓声がこれに呼応する。
時間が、止まったように見えた。
金メダル第1号の表彰台の上で。
この日観客席によじ登り、母のデビーさんに花束を渡した時。
今大会、意外なフェルプスの涙を何度も見た。
「ここで体験したどんな瞬間も、すべて僕の中に永遠に残しておきたいと思っていた。ひとつひとつを心に刻み込んで」。
7つの世界新を連発し、8つの金メダルを取り続けたマシンのような集中力の内側に、一瞬一瞬をいとおしむ、人間味あふれる心があった。
子どものころに両親が離婚、フェルプスの水泳と家族を、一人で支え続けた母への思い。
幼少から師事し、大きな夢を持つことを教えてくれたボウマンコーチと、「貯金をするように」練習を積み重ねてきた年月への思い。
「五輪も、この4年間も、本当に楽しかったよ。でも今はただ、自分のベッドに座って、何もしない時間を過ごしたい」
記録を破られたスピッツが、フェルプスを「火星に降り立った最初の人間」に比したという。
「僕のも含め、記録はいつか破られる。確かなのは、人が心を決めて夢を追ったら、不可能はない、ということだ」。
歴史を作った者が、次に見る夢は何なのだろう。 』
(結城 和香子)
すこしだけでも8つの金メダルをとった超人のハートに触れることができましたでしょうか?