南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

論語と算盤

2010-12-14 13:01:04 | 経済
菅首相が、玄葉国家戦略大臣と野田財務大臣に、法人税5%下げの指示を出しました。
記者会見の発言(読売新聞)によれば、「ここは思い切って法人税を5%下げて、経済界の皆さんには、その下がったお金で国内に投資をする、さらには雇用を拡大する、さらには働いている人に給料を増やす。そういうところに使うことで、…」。

これに対し経団連の米倉会長は記者会見(産経新聞)で、「私が約束したとしても経済界がやってくれるかどうか。経団連は予測値を提出済みだ。資本主義でないようなことをやってもらっては困る」と述べました。
また一方では(毎日新聞)、「内外から投資を呼び込み、雇用を創出するためで、企業負担を軽減する目的で言っているのではない」とも述べています。

私は経団連米倉会長の人となりも知りませんし、直接記者会見を聞いたわけでもありません。
しかし新聞記事を読んで少し違和感を感じました。
国の財政状況は末期的状況にあり、失業者は300万人を超えて国民は不安におびえながら生活をしている最悪期の法人税減税政策です。
正直な話、「資本主義ではないようなこと」?の意味がよく分かりません。

日本資本主義の父とも呼ばれた渋沢栄一氏はその著書「論語と算盤」でこう述べています。
「実業とは、多くの人に、モノが行きわたるようにするなりわいだ。
これが完全でないと国の富は形にならない。
国の富をなす根源は何かといえば、社会の基本的な道徳を基盤とした正しい素性の富なのだ」
渋沢栄一氏は、あくまで国を富ませ、人々を幸せにする目的で、事業育成を行っていました。

掛川市にある報徳社を訪れると、正門にある二つの門柱を必ず通ります。
世の中を渡るときは、“道徳門”と“経済門”の両方をくぐらなければいけないという教えです。
経済だけでもだめ、道徳だけでもだめで、両方一円融合して経済と倫理、経済と環境、企業と道徳、そのような二つがいつもおなじ高さでバランスをとっていなければならないという教えです。

経団連トップとして自信を持って「私が約束します。法人税減税を決して企業のためにではなく、国家・国民のために使います」と言い切ってもらいたかったですね。