南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

大掛かりな“ねずみ講”

2009-03-19 17:33:53 | 経済

みなさんは“ねずみ講”なるものをご存知でしょうか。
「親」の会員は「子」の会員から利益をもらい、「子」の会員は「孫」の会員から利益をもらいます。
次から次へと連鎖が繰り返されて、“ねずみ講”の会員は全員が利益を享受します。
この仕組みはすべての“つけ”をより次の世代の会員に回していくことで成り立ちます。
連鎖が永久に続くとするならば最後の世代の存在は無限の彼方に消えて見えなくなります。
まさに「無」から「有」を産み出す“錬金術”です。
冷静に考えれば「親」だけが儲かるこの仕組みがいつまでも続くはずはありません。

政府は緊急経済対策・雇用対策としてバンバンと大盤振る舞いをしています。
2009年度予算が通過したかしないかのうちに大型補正予算を組み立てています。
どこからお金が生まれるのか不思議ですね。
埋蔵金なるものももう無くなりますから、国債という紙切れからお金をつくりだすしかありません。
国債とは政府の借用証書であり、金融機関や国民が政府を信用してお金と交換にして買い取ります。
国債には金利が付いており買い手が多いときには低い金利でも売れますが、人気がなければ金利は高くなります。
こうして国債という紙切れがお金に(国の信用力で)化けるわけです。

一方お金(貨幣)は日銀が印刷機を回して刷り上げます。
際限も無く増し刷りできるわけではなく、当然上限は決めてあります。
市中に出回るお金も日銀が厳しく管理しています。
その日銀が政府の発行した国債を買い取ることで市場へのお金の供給量を増やします。
18日に日銀は長期国債の買い取り額を1兆4千億円(月)から1兆8千億円に増やすことを決定しました。
現在日銀が保有する国債残高は約44兆円です。
償還期限が来れば政府はその国債と交換で利子をつけてお金を払わなければなりません。
払えなければそのための国債を発行することとなり、その国債をまた日銀が買い取るという連鎖がはじまります(はじまっています)。

日銀総裁は「もう限界に近い」と述べていますが、その意味するところは“ねずみ講”の限界にも相通ずるところがありますね。
きついことでしょうが、真正面から次の時代と向き合う覚悟が、私たちにもいよいよ求められています。