南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

正社員が没落する

2009-03-15 22:45:18 | 読書
「安い労働者を使うところほど利益も高くなり、労働者を大事にする企業は競争で生き残れなくなる。
労働条件は全体として地盤沈下していく。
悪貨が良貨を駆逐する形だ。
結果として、さらに労働市場は壊れ、貧困が増大していく。
この循環を私は“貧困スパイラル”と呼ぶ」
年越し派遣村で一躍時の人となった湯浅 誠氏はこう語ります。

「政府の社会保障費削減政策と、今まで国が責任を持っていた中枢機能を民営化した結果、セーフティネットを奪われた人々が次々に生存権を奪われ、貧困層が急増していったアメリカ」
新進気鋭のジャーナリストで「ルポ・貧困大国アメリカ」の著者でもある堤 未果さんは、金儲け主義に走り刹那的になった結果出現したアメリカ社会の悲惨な現実と日本が重なり合ってきていると警告します。

この二人の対談をまとめあげた本ですが、まさしく連日連合に寄せられる労働相談からひしひしと感じる恐怖感を思い起こさせます。
誰もが貧困に転がり落ちるという“すべり台社会”にあることをまずは認識しましょう。
その上で、セーフティネットの再構築だけではなく、教育、医療、暮らしなど全ての課題を同じテーブルにあげて議論することが求められますね。

正社員が没落する ――「貧困スパイラル」を止めろ! (角川oneテーマ21)
湯浅 誠,堤 未果
角川グループパブリッシング

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