南町の独り言

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いまさらながらサブプライム・ローンに思う

2009-03-18 18:08:11 | 経済

2007年に勃発した「サブプライム危機」は、あっという間に世界中を大不況に追い込みました。
この「サブプライム・ローン」なるものは一体なんだったのか?改めて考えてみました。
一般的には「信用力の低い個人向け住宅融資」であるとされますが、その住宅融資がなぜ問題だったのかということです。
融資するということは返済するということとセットです。
返済できない人に融資することは本来ありえませんから、金融機関は必ず融資するか否かの判定をします。
もちろん日本でも米国でも与信審査(お金を貸しても大丈夫という信用を与えるための審査)を行ないますし、政府による厳格なガイドラインもあります。
そのガイドラインに従わないといけませんから、法外な高リスクの融資は実行されることはありません。

米国のサブプライム・ローンはこのガイドラインとは関係なく実行されました。
このローンを供給するのが連邦政府の監督下に置かれていない住宅ローン業者だったからです。
信用力のある人は金利の低い(監督下にある)ローンを利用しますが、無い人は与信審査で断られますので必然的に審査の甘い(監督下にない)サブプライム・ローンに流れるわけです。
住宅ローンですから土地や住宅が抵当に取られますので最低限の安全性は確保されていると判断したのかもしれませんが、あまりに危険なローンでした。
問題はなぜこんな危険な住宅ローンがまかり通ったのかということです。

おそらくそれは政治的な問題です。
国民全員に持ち家を!という政策の実現には、普通の与信審査では通らない低所得者層の人たちにも持ち家を持てるようにするしかありません。
大国の政治的エゴが世界中を震撼させてしまいました。

同じようなことが日本の中で心配されます。
大量に出現したワーキングプア、そして職と住を失ったホームレス寸前の労働者、緊急的に出動した様々な政策(2兆円ばらまき給付など)に私は危ういものを感じてなりません。

物価上昇分はおろか定昇さえも危うくなってきた春闘、操業短縮をワークシェアリングと嘯くようでは労働界も霧の中に消えてしまいそうです。
オランダの“ワッセナー合意”を参考に、大上段からワークシェアリングに切り込んでいくべきです。
1、労働組合は賃金抑制に協力する(もう協力しているね・・・)
2、経営者は雇用の維持と就労時間の短縮に努める(まだ努めていないね・・・)
3、政府は減税と財政支出の抑制を図り、国際競争力を高めるための企業投資を活発化し、雇用の増加を実現する(国際競争力もさることながら内需拡大に注力し、エネルギーと食料自給率を高めてね・・・)

100年に一度という意味は、過去の延長線上にはない選択の中にこそ生き残る道があるということではないでしょうか。
その道とは、“奪い合いから分かち合い”の道だと私は思います。

大変な経済状況の中での賃金交渉を終えた方々、本当にお疲れ様でした。