地元住民による案内板
四ツ子川の「百間堤」(大津市大物地先)
見学日:2016.4.20
JR湖西線志賀駅から線路に沿う道を高島市方向に1kmほど進むと、大物(だいもつ)の集落に入ります。集落内の道を山手(西側)に進んで国道161号を越え、湖西道路志賀バイパスの下をくぐり抜けます。山手の別荘地帯には進まず、右折して志賀バイパスの側道を高島市方向に進み、左折して山に向かう林道に入ります。坂道をしばらく登ると突然左手に巨大な石塁群が姿を現します。この石塁が四ツ子川の百間堤(ひゃっけんつつみ)です。
集落用の用水路
百間堤は崩壊することなく現在でも当時の姿をとどめ、その迫力には驚かされます。また、下流の生活用水や水田の水源用に堤を横断して造られた水路は、石造建築の強さと優しさが表れています。百間堤に続く下流部の堤は女堤(おなごつつみ)とよばれ、女性でも運べる程度の石で造られています
平成25年(2013)10月15・16日に滋賀県を通過した台風26号は、県内各地に多くの被害をもたらしました。大津市北小松の北比良山系から楊梅滝(第116回)を経て流れ下る滝川も、JR湖西線の鉄橋付近で氾濫し、周辺の別荘地は床下まで浸水しました。JR湖西線蓬莱駅付近から北小松駅付近にかけては、比良山系と琵琶湖に挟まれた狭隘な地形で、山地から流れ出る大小の河川が小規模で急な扇状地を形成しています。過去に幾多の被害に見舞われた集落は、扇状地の扇頂部の斜面と湖岸に沿った平坦地に集まっています。こういった洪水や干ばつ被害から集落を守った江戸時代の大規模な治水工事の歴史遺産を、訪ねてみることにしましょう。
参考資料:滋賀県文化財保護協会
本日の訪問ありがとうございす!!