北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」

元杉並区議会議員(2007-2011)北島邦彦の活動日誌 e-mail kjmirai@jcom.home.ne.jp

参院選後の「政治」がわかる杉並区議会

2010年07月30日 | 日記
田中新区長の下で初めての区議会(臨時議会)が開かれました。主な議題は教育委員2名の任命と監査委員2名の任命の件。山田前区長とは異なる田中新区長のアプローチ(“調整”型人事?)の下で、区議会の総与党化が激しく進展していることがよくわかりました。首長に対する政党・議員のスタンスは、人事案件についての姿勢によく表現されると思います。この臨時議会における動向には、そのことがよく表わされていました。教育委員として提案された2人は、いずれもPTA活動や教育ボランティアなどをずっとやってきた女性です。そのうちひとりは石原教育行政の目玉である「心の東京革命」チーフアドバイザー。採決結果は、そのアドバイザー(ボランティアスタッフらしいのですが)については反対3(「残念ながら反対」との意見をのべたのは無所属区民派K議員)、もうひとりについての反対は私だけ!日本共産党にいたっては、質疑も意見も一切ないままに賛成。また、田中新区長の答弁に対してたびたび「ヨシッ!」の声をあげ、「傍聴席を静かにさせろ!」と議長に要求していたのは、民主・自民の野合会派に所属する社民党籍のあるO議員でした。田中新体制翼賛の最先頭に立たされているということであり、まさにいったん屈服するととことん“走狗”としての役割を果たさせられるのですね。
以下は私の反対意見です。

議案第56号について、反対します。
山田教育行政の11年は、公教育の民営化へ向けた攻撃の連続でした。その実現のために、子どもたちばかりでなく教育労働者も、徹底的に差別・選別と競争のなかに叩き込もうとするものでした。その結果は、様々な“新制度”はマスコミでもてはやされるものの、きわめて深刻な教育現場の荒廃をつくりだしてきました。和田中の「夜スペシャル」に典型的に見られる公立学校の予備校化、学校統廃合と一体の学校希望選択制や小中一貫教育をつうじた学校の序列化と学校間格差の拡大、師範館卒塾者を区費教員として独自に採用することによる教育労働者の間に生じる分断、「学校地域支援」という名分で学校経営の現場から教育労働者を排除する…などなど。さらにそのうえに、学校給食・用務をはじめとする民間委託化は、「偽装請負」という形で学校現場ではたらく労働者の間にいびつな関係性をつくりあげてしまっています。
教育労働者はバラバラに分断されたなかでの多忙化で、若い教師を周囲の先輩教師が援助するどころか、自分を日々維持していくだけで精一杯です。子どもと保護者は、みずからが望んだかのように仕組まれた競争―選別システムのなかで振り回されています。いまこそ山田教育行政を根本から批判・弾劾し、まったく新しい教育をめざす団結した労働者と子ども・保護者の闘いが必要です。教育行政はそれをどう援助していくことができるか、こうした発想の大転換が求められます。
教育行政を、自治体における民営化・外注化・非正規化の導水路にしてはなりません。教育を「地域で支える」「ボランティアで支える」と言えば、きわめて主体的・献身的・積極的な行動のように聞こえます。しかし、こうした活動がいったん行政システムの中に取り込まれたとたん、学校民営化の導入口・受け皿になってしまうことに、教育に関心をもつ者はとりわけ留意しなければなりません。
山田前区長による教育行政の偏向は、いわゆる「つくる会」教科書採択のための教育委員選任において著しいものでした。こうした事態への総括をはっきりさせなければなりません。現状の教育委員会のあり方そのものが問われなければならないし、教育委員全体の構成変更が必要です。教育委員の選任方法をはじめとして、教育行政そのものの抜本的な変革が必要です。したがって議案第56号に反対するとともに、同様の考えから議案第57号にも反対します。

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