北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」

元杉並区議会議員(2007-2011)北島邦彦の活動日誌 e-mail kjmirai@jcom.home.ne.jp

山田区長に訴えられもせず返還金のみぶん取られる?

2009年09月18日 | 日記
政務調査費をめぐる問題について新たな進展がありましたので、ここらで野太く見解を明らかにしておきましょう。
私は山田宏杉並区長から、「政務調査費の使途基準に該当しない目的外支出169,586円を返還せよ」と、裁判所に提訴されました。杉並区監査委員が「すぎなみオンブズ」の監査請求を一部認め、監査結果を出したことにもとづくものです。返還の監査を受けた議員は何人もありましたが、この監査を不当として唯一自主返還に応じなかった私が提訴されたのです…と抗議・弾劾の声明を出す予定でした。
ところが姑息にも山田区長は、裁判によってこの問題が社会問題化すれば、逆に私にとって絶好の政治宣伝の場になるとでも判断したのでしょう、提訴をやめてしまいました。ところがさらに姑息な上にも姑息にも、その返還金額を10月初旬に支給される政務調査費から差っ引く(民法505条に規定されている「相殺」の条項を適用する)というのです。文句があればそっちで訴訟を起こせということでしょうか、許しがたい!
私に関わる監査結果は、①広報紙(ビラ)である「すぎなみ未来BOX」「都革新レポート」の内容について、政治活動・政党活動に該当すると認められる記載部分については、政務調査費の目的外支出である、②8・6広島反核行動および自治労全国大会に参加するための交通費は、政務調査に関わる目的が含まれるとしてもそれが1/2を超えるとは認められず、政務調査費の目的外支出である、というものです。
政務調査費の問題については、議員の「第2報酬」→「税金のムダづかい」との観点から、全国各地で「すぎなみオンブズ」のような団体が立ち上げられて問題点を指摘しています。政務調査費でポルノ小説を購入したり、みずからが経営する企業の社員である家族を事務職員として政務調査費から賃金を支払う形にしたり…等々、議員としての腐敗を如実に表わしている事例も多々あります。もとより、こうした不正が許されていいわけではありません。しかし事案の本質は、「税金のムダづかい」との市民の声が「行財政改革」という行政当局の姿勢と一体化しており、それを促進していることにあります。それが自治体まるごとの民営化を推進する動力となり、自治体労働者の首切り・賃下げ・労働強化をもたらしています。そのことをまずハッキリさせる必要があります。そしてその動きが政務調査費の使途という形で議員に向けられた時、労働者階級とともに民営化・労働組合破壊と闘う議員の活動を阻害する結果をもたらすということです。
私が山田宏杉並区長から訴えられている内容について、以上のような観点から簡単に反論します。
区議会議員としての活動にとって、区政とは国政・国際政治と一体のものであって、密接不可分の切り離して考えられないものです。いわゆる「区政」の現状について広報する場合も、その「区政」の現状がどのような社会情勢、国際情勢、階級情勢の中においてそのような現状であるのか、こうした位置づけをはっきりさせて考察しなければ、「区政」の真実は明らかになりません。
もとより、区議会議員としての活動を、いわゆる「区政」のみに切り縮めている議員もあるでしょうが、少なくとも私が考える区議会議員としての活動のあり方とは相違します。そうした意味で、広報紙(ビラ)における「政務調査以外の記述」という指摘は、私が考える区議会議員としての活動指針(活動形態)にあっては、あてはまらない指摘です。
また、8・6広島反核行動に参加することは、国内・国外の反核運動を担うさまざまな活動家と交流できる絶好の機会です。これからの反核運動のあり方をめぐっては、世界情勢の激変の中で大きな転換期にあります。「原水禁運動の発祥の地」とも言える杉並区の区議会議員として、今後の杉並区における反核運動の方向性を考えるうえでも、こうした動向に無関心であっていいはずがありません。したがって、8・6広島反核行動に参加するための交通費が、政務調査費の使途基準に該当しない「目的外支出」であるとの指摘は当たらないと考えます。
さらに、毎年開催される自治労全国大会は、全国の自治体で働きながら組合活動に尽力している自治体労働者が多数集まる場です。そこでの情報交換や議論は、全国の自治体現場で起こっていることをリアルにつかみ、杉並区で進められている行政事業のあり方を相対化し、検証する絶好の場となっています。私はこうした場で得てきた自分なりの見解をもって、山田区長による「杉並まるごと民営化」政策への批判を行なってきました。こうしたことひとつをとっても、情宣活動をはじめとする諸活動のために自治労大会に参加するために要する交通費が、政務調査費の使途基準に該当しない「目的外支出」であるとの指摘は当たらないと考えます。