北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」

元杉並区議会議員(2007-2011)北島邦彦の活動日誌 e-mail kjmirai@jcom.home.ne.jp

議場で山田区長とバトル

2009年09月10日 | 日記
区議会09年第3回定例会が始まりました。今回の一般質問はクジに負けたので、2番手の登場になりました。質問の軸は、山田区長が中田前横浜市長らと立ち上げた「よい国つくろう!」日本国民会議の設立趣意書(HPがあります)を素材にして、区長の政治姿勢を追及する質問です。この質問に対して珍しくも、いや初めてと言っていいかもしれませんが、山田区長本人が長々と答弁に立ったのです。野党会派の議員のなかには、山田区長本人が答弁に立たないことに異様にこだわる議員もいるのですが、私はそんなことはどうでもいいと思ってはいます。しかし、私の質問に本人が立つことは珍しいので、ちょっと不思議なぐらいでした。この政治的動向についての追及が、山田区長の胸中の何かを衝いたのかもしれません。その答弁のなかで特に印象的だったのは、山田区長が開口一番、「北島議員の言っていることは、1848年の『共産党宣言』のようであって、それから時間が止まっているようだ」と述べたことです。そのとおり!私が拠って立つ思想的根拠は『共産党宣言』にあるのですから、自分の主張がブレてはいないことを逆に証明されたような気になりました。

ちょっと長いのですが、以下一般質問の前半部分を掲載します。
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8月30日総選挙は、戦後史の巨大な転換点となりました。積もりに積もり溜まりに溜まった労働者階級人民の怒りが、ついに自民党と自民党政治を崩壊させました。300年にわたる資本主義体制の下に搾り取られ、踏みにじられ、縛りつけられてきた労働者階級人民がついにその怒りを爆発させて、資本主義を打倒する闘いに立ち上がり始めました。絶望的危機に立つ資本主義の最後の延命を策した新自由主義攻撃が、ついに大破綻を来たしたということです。大恐慌―戦争と大失業を労働者階級の革命に転化する時代が、現実に始まりました。
この労働者階級人民の怒りの矛先は、自民党と自民党政治にとどまらず、これまでの政治・経済・社会体制を護持しようとする民主党をはじめ、すべての政治党派に向けられるでしょう。8・30情勢が明らかにしたことは、議会だとか、企業だとか、地域社会だとか、これまで労働者階級人民を支配してきた資本主義のシステムそのものが否定された、その支配構造が崩壊し機能しなくなったということです。したがって、「民主党政権なっても変わらない、民主党がダメならまた自民党に…」とは、もう戻ることのない政治情勢です。民主党新政権の登場によって、政治・経済・社会の「大混乱」は必至です。しかしそれは、生産現場を掌握する労働者階級が真に社会の主人公になる新しい社会をつくりあげていくための胎動であり、労働者階級人民にとって「よし」とすべき情勢の到来です。この「大混乱」する社会は、革命勢力と右翼ファシストが労働現場をめぐって直接に激突する情勢でもあります。
私たちは全国・全世界の労働者階級に訴えます。11月1日1万人の労働者を日比谷に結集し、労働者階級の世界革命への号砲を轟かせましょう。新自由主義攻撃を核心のところで撃ち破り、道州制・民営化攻撃を粉砕する道しるべである国鉄1047名解雇撤回闘争と、帝国主義の侵略戦争を阻止する労働者の国際連帯を掲げた11・1日比谷労働者集会には、すでに海外から7カ国100人を超える労働者の参加も予定されています。戦後史の巨大な転換点を、私たち労働者階級の力でさらに推し進めようではありませんか。
(1)区長の政治姿勢
山田区長は中田前横浜市長らと語らって、「よい国つくろう!」日本国民会議の設立趣意書を公にしています。従来の労働者支配が崩壊する事態のなかで、何とかこの支配構造を維持しようとする意図をもって書かれた設立趣意書は、まさしく労働者階級の革命運動を潰そうとするファシストの宣言です。「よい国つくろう!」日本国民会議の設立趣意書に関して、以下の諸点について区長の見解・釈明を求めます。

「いま日本は、国家ごと崩れ、溶解を始めている」と、ある種の絶望や慨嘆をもって冒頭に記述されています。8・30総選挙情勢を労働者階級人民の立場で見るのではなく、崩壊する資本主義体制を必死で支えようとする山田区長の階級的立場が表現されています。この情勢認識は「お国のためには命を捧げよ」というスローガンに象徴される考え方を形成し、「国滅びて個人なし」といった滅私奉公に導く、実に許しがたい観念的な国家主義の発想だと考えますが、見解を求めます。

発起人のひとりである中田宏・前横浜市長は、「国滅びて地方なし」という趣旨の発言をしています。区長も参加するいわゆる「首長連合」の提唱する道州制導入による「地方分権」の主張も、けっして労働者階級人民を主体としてすえようという考えではありません。個人や地方に優先して国があるとする発想こそ道州制の本質であり、改憲攻撃は道州制導入の攻撃そのものであると言って過言ではありません。三位一体改革にもとづく地方自治体の広域合併がもたらした地方の現状を見ても明らかなように、結局は国家=大資本優先―地方切り捨てしかもたらさない制度が道州制だと考えますが、見解を求めます。

設立趣意書には、「『自立心』を促し、自らの力で課題解決していくことを促す政策こそが実行されなければなりません」「悪平等で、国民全体が貧しくなっていく政策ではいけません」と記述されています。これは現在さらに激化している世界大恐慌のなかで破産が刻印されているところの、資本主義の最後の延命策であった市場原理主義にもとづく新自由主義の政治・経済政策のことを言っています。徹底した規制緩和と民営化によって労働者階級への首切り・賃下げ・労働強化をもたらす一方で、社会保障の全面的解体をもたらしたのが新自由主義です。山田区長も設立趣意書と同内容の発言を議会答弁でもたびたび繰り返していますが、その経済思想が金融投機の破産をはじめとする世界大恐慌をもたらしたのではありませんか。極限的な格差社会と不平等を社会全体に出現させたこの新自由主義を、なお懲りずに政治・経済の中軸的発想とするこの設立趣意書はまったく誤っていると考えますが、見解を求めます。

また、日本の現状を「完全な行き詰まり」とし、「その根本原因は、日本人の『心』が行き詰まってしまっていることにこそある」としています。これは憲章化へとトーンダウンされたものの、山田区長が策定をごり押ししている教育基本条例の基本をなす認識と瓜二つです。日本の現状をどう認識するかは、その階級的立場によってまったく異なりますが、いずれにせよ日本の現状は社会構造がもたらしたきわめて物質的で現実的なものです。それを「日本人の『心』」などといったきわめて抽象的で観念的な精神主義に歪め、しかも社会構造がもたらした―すなわち資本主義によって莫大な利益を享受してきた支配階級によってもたらされた数々の苦難を、きわめて一般的に個人に責任転嫁していると考えますが、見解を求めます。

しかも「日本人の『心』が行き詰まってしまっている」ことの例として、北朝鮮拉致被害者家族を持ち出しています。拉致被害者とその家族の悲しみを思うことのできない「心」のありようより、もっと問題にすべきことがあります。独裁的な権力者とその下で呻吟する労働者人民を意図的に同一視し、軍事行動=戦争によってそれら総体を粉砕しようと主張しているのが山田区長です。朝鮮半島における戦争によって殺される、100万人以上の南北労働者階級人民の悲惨さに思いをはせる「心」がないのが山田区長です。本来は国境を越えて団結し、ともに戦争を阻止する階級的使命をもっている労働者階級の間に敵意を持ち込んで分断しようとしています。ミサイル発射や地下核実験を恰好の餌食にしてことさらに北朝鮮敵視キャンペーンを煽り、在日朝鮮人・韓国人と日本人との間に敵意と分断をもたらしています。区職労働者にブルーリボンバッジ・シールの着用を強要しているのは、1万人にもなる杉並区在住の在日・滞日外国人への襲撃的行為をやらせているに等しいのです。設立趣意書に表現されているこの一節も、きわめて目的意識的に北朝鮮排外主義を煽り、日本という帝国主義国家の危機を戦争によってのりきろうとする思想だと考えますが、見解を求めます。

設立趣意書にある「かつて流れていた日本人の精神の、あの清く美しい流れ」とは何でしょうか?続けて「わが国の先人たちの喜び、悲しみ、苦難、夢などを、私たちへの『貴重な贈り物』として感謝をもって受け止め、誇りをもって日本の歴史をしっかりとわが身に背負い」と記述しています。かつて近隣諸民族への侵略と植民地支配によって2000万の人々を殺戮した歴史的事実が、どう考えれば「貴重な贈り物」となるのでしょうか?こうした帝国主義の侵略戦争に反対する者を「非国民」「売国奴」と呼んで逮捕-拷問によって獄中で殺し、その家族を社会的に疎外してきた日本人の感性とは何だったのでしょうか。それも含めて「日本人の精神の、清く美しい流れ」と言えるのでしょうか。これは「つくる会」の中学歴史・公民教科書の思想そのものではないかと考えますが、見解を求めます。
「よい国つくろう!」日本国民会議の基本理念のなかには、「税金の安い、楽しい国をつくる」とのスローガンが掲げられています。それを杉並区において山田区長が具体化しようとしているのが、減税自治体構想ということになるでしょう。先のプレス発表では、来年2月の区議会定例会に基金条例案を提出する考えが示されています。「毎年一般会計の1割150億円を積み立て、国債などの金融商品によって1.5%の利率で運用し、10年後には10%、20年後には15%の住民税の減税を行なう」とされる減税自治体構想は、その本質を見てみれば、毎年150億円前後の歳出をカットするということに帰着するにすぎません。しかも研究会の報告書でも、「地方分権改革、地域主権の動きに一石を投じる」とあるように、この構想のねらいが道州制導入にあることを隠そうともしていません。こんな減税自治体構想には絶対反対です。
(後半部分は明日に続く)