北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」

元杉並区議会議員(2007-2011)北島邦彦の活動日誌 e-mail kjmirai@jcom.home.ne.jp

区議会一般質問

2009年06月08日 | 日記
区議会本会議で一般質問をしました。長いけど、以下質問原稿を掲載します。

1)
世界大恐慌はさらに底なしの展開を見せています。帝国主義各国の政府・資本は、「底入れ」声明などを事あるごとに発していますが、それはまったく根拠のないペテン的言辞です。今こそ国際的に連帯した労働者階級のゼネストによって、資本主義の最後のあがきを叩きのめそうではありませんか。国鉄1047名解雇撤回!労働者派遣法撤廃!改憲阻止!麻生内閣打倒!6・14渋谷デモ-法政大学生弾圧粉砕!6・15法政大包囲デモに、多くの労働者人民の参加を呼びかけます。
アメリカ経済はさらに決定的な危機に向けて坂道を転落しています。シティ・グループやAIGの黒字決算と喧伝されているものも、国家そのものが容認した粉飾決算でしかありません。ビッグ3の一角クライスラーの破産に続き、GMも経営破綻しました。新生GMの株式の6割を米政府が引き受け、実質的に国有化されました。大金融機関・基幹産業の破綻のありさまは、29年恐慌の比ではありません。大資本救済のための膨大な税金の投入は、過去最大の財政赤字(09会計年度予測は約180兆円)を生み出し、国債のFRBによる引き受けは、悪性インフレとドル大暴落を不可避とします。9・11ゲリラによって資本主義の象徴を破壊されたアメリカ帝国主義は、いまや国家のその根幹から自壊を始めたのです。
ヨーロッパ経済の危機も激しく、09年1~3月ユーロ圏の実質経済成長率は前期比-2.5%(年率換算-10%弱)にもなっています。3月の失業率は8.9%であり、25歳以下の青年労働者の20%が失業状態にあります。とりわけ、低賃金労働者の供給源としてユーロ圏経済を支えてきた東欧諸国の国家破産状態があります。
米欧よりもさらに落ち込みの激しいのが日本経済です。電機・自動車など大企業の赤字決算ラッシュが続いています。09年1~3月実質経済成長率(年率換算)は-15.2%となり、景気の底入れというペテンを口にする支配階級を震撼させました。米欧市場への輸出とアジアの低賃金労働力の搾取を収益拡大の基盤にしてきた生産体制=「輸出立国」の柱そのものが根本から崩壊しました。
1980年代以降、徹底した民営化・規制緩和と労働組合破壊によって、労働者人民からの飽くなき搾取と収奪を事としてきた新自由主義は、過剰資本・過剰生産力状態の中で金融資本の暴走を生み出し、ここに破綻しました。その間、非正規職化と競争原理の持ち込みによって労働者人民は分断され、生活破壊に直面させられました。そうした状況は「自己責任」「自助努力」などの言辞によって、あたかも労働者人民の責任でもあるかのように描きだされていたのです。ところがそう言って憚らなかった大資本は、みずからの破綻に直面して公的資金という名の労働者人民の血税による救済を要求して恥じないのです。これが資本の本性です。かつて山田区長は、「富める者から取り上げて貧しき者に施す社会は豊かになれない」旨の議会答弁を行なっています。まさしく新自由主義の思想の表明であり、その思想が現実によって完全に破綻を刻印されたことを明確に自覚すべきです。
2)
世界経済は急激に収縮しています。保護主義とナショナリズムが一気に台頭し、帝国主義間争闘戦が激化し、資源・勢力圏をめぐる死闘から帝国主義戦争へと突き進む情勢、戦争か革命かが問われる情勢です。「戦争・改憲と民営化・労働組合破壊」の攻撃が吹き荒れています。世界大恐慌下で首切り・賃下げ・労働強化の嵐の中で、労働者階級の激しい怒りを圧殺するために労働組合を解体し取り込む攻撃が激化しているということです。戦争と改憲攻撃を阻止するために立ち上がる階級的な反戦勢力である労働者階級の闘いを壊滅させるために、戦争・改憲攻撃と民営化・労働組合破壊攻撃は一体となって襲いかかっています。
こうした大恐慌と戦争の時代において、階級闘争の決定的軸となるのは、労働組合や労働者党をめぐる攻防です。国際階級闘争は5・1メーデーを経て新たな段階に突入しています。アメリカ-ロサンゼルス・メーデーでは6万人がデモ。UTLA(ロサンゼルス統一教組)は、シャワルツネッガー知事による教職員4000人解雇計画に抗議して、46人の逮捕をはね飛ばして座り込み闘争を貫徹しました。フランス-メーデーには120万人が決起。ドイツ-メーデーには50万人が決起し、ベルリンでは警察権力と激突した数百人が逮捕される激しい闘いが打ちぬかれています。韓国-メーデーでは2万人の労働者大会が開催されています。労働運動の体制内指導部の制動をはねのけて、現場労働者の怒りが爆発していることが共通した特徴です。戦争阻止勢力の中軸である労働運動が、新たに動き始めていることが明確になっています。世界大恐慌の激化は階級闘争の激化を伴って進展していきます。
3)
北朝鮮人工衛星ロケット迎撃のための臨戦態勢は、明らかに戦争発動そのものであり、自治体労働者の戦争動員そのものでした。北朝鮮の地下核実験非難キャンペーンは、マスメディアを総動員して大々的に行なわれ、今すぐ核弾頭を装着したミサイルが飛来してくるかのような扇動がなされています。また、自衛隊ソマリア派兵の拡大、憲法審査会での具体的審議の開始策動と集団的自衛権の論議の浮上など、戦争と改憲攻撃が具体的な戦争政策として現われています。
そもそも、北朝鮮人工衛星ロケット発射事件とは何だったのでしょうか。ミサイル発射実験や人工衛星ロケット打ち上げは、日本をはじめ世界中で数え切れないほど実施されています。それをあたかも実際に被害が生じるかのような意図的な宣伝を行ない、自治体を戦争行動にまるごと巻き込みました。PAC3迎撃ミサイルを市ヶ谷の防衛省中庭にも配備し、石原都知事は都下すべての自治体との通信演習を強行しています。2回の「誤報」に際しては、自治体労働者が走り回らされている様子がニュース映像で流され、労働者の戦争動員の現実が突きつけられました。「ミサイルが日本に飛んでくる前に発射基地を先制攻撃しよう」という侵略戦争扇動発言まで、政権中枢から飛び出しています。
北朝鮮拉致被害者家族への支援事業は、北朝鮮「悪玉論」による敵意や排外意識を煽り立て、戦争・改憲攻撃を自治体の現場から推進しようとするものです。「共感の輪」を広げると称していますが、徹底した民営化攻撃によって労働者の団結を破壊し、労働者を分断して競争・対立させてきたのは、山田区長その人ではないですか。一体何が「共感の輪」ですか。この支援事業によって、在日朝鮮人・韓国人と日本人との間に分断と敵対を持ち込み、「共感の輪」とは最も縁遠いところにある許しがたい政策であり、ただちに中止するべきです。
拉致被害者家族会が求める北朝鮮への「制裁」とは、突き詰めれば北朝鮮への戦争発動に行き着きます。米ブッシュ政権によるイラク侵略戦争を見るまでもなく、戦争こそ究極の「制裁」だからです。朝鮮半島をめぐる戦争を阻止できるのは、北朝鮮・韓国・日本の労働者が国際的に連帯し、それぞれの国家による戦争動員をきっぱり拒否する団結した力のみです。反帝国主義・反スターリン主義に立脚した労働者階級の革命運動こそ、戦争を阻止し拉致問題を総括することのできる唯一の途です。
戦争・改憲攻撃を推進するための北朝鮮拉致被害者家族支援事業の即時中止を求めますが、区長の見解を求めます。
4)
北朝鮮拉致被害者家族への支援事業は、民間団体による田母神前航空幕僚長講演会とも一体のものとして、今夏の中学教科書採択において、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導して制作した扶桑社版歴史および公民教科書の採択をねらうものでもあります。その観点からも許すことはできません。
4年前、「つくる会」教科書の採択率が歴史0.39%、公民0.19%というきわめて低率に終わったことから、扶桑社は次回学習指導要領の改訂に伴う出版をとりやめるとの見解を明らかにしています。また、そうした事情にも影響されて、「つくる会」は醜悪な人事抗争を内部で繰り広げ、分裂によって自由社版歴史教科書が制作される事態ともなっています。
扶桑社版にしろ自由社版にしろ、「つくる会」中学歴史教科書は、古代から現代までありとあらゆる歴史的事実を捻じ曲げ、かつての日本の侵略戦争を「アジアの解放に役立った」と賛美しています。広島・長崎の原爆については「投下した」のたった一言で、被爆者の数さえ書かれていません。総体として天皇中心の歴史記述で、民衆のエネルギーが歴史をつくっていくといったダイナミズムはまったくありません。
また、扶桑社版中学公民教科書は、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重という日本国憲法の3原則を否定し、憲法改悪を公然と主張しています。領土・拉致・不審船問題などで排外意識を煽り、自衛隊の海外派兵や国防の意義を強調し、世界の労働者が怒りを突きつけている民営化を絶賛しています。
「つくる会」教科書は、お国のために死ねる教育をすること、資本に滅私奉公ではたらく人間を育成することを目的に制作されています。次代を担っていく子どもたちにいかに生きかを教えるどころか、子どもたちから未来を奪い、労働者を戦争の担い手にしていく教科書です。
こうした教科書の採択には絶対反対です。区長ならびに教育長の見解を求めます。
また、大蔵雄之助教育委員会委員長は、「つくる会」教科書の執筆者である八木秀次高崎経済大教授が理事長を務める「日本教育再生機構」の代表委員です。同機構の目的が「つくる会」教科書の採択拡大運動にあることは明らかであり、特定の教科書を支持する運動に賛同している大蔵教育委員が、教科書採択に関与することは認められません。さらに、宮坂公夫教育委員会委員長職務代行者は、先の教育委員会定例会における質疑で、性犯罪の被害を受けるのは被害者にも責任があるという趣旨の発言を、「最近の女性の服装の乱れ」というきわめて主観的な考えを披瀝することで主張しています。性犯罪を助長する考えをもつ人物が、杉並区の教育委員を務めていることは恥ずべき事態です。このような両教育委員が中学教科書採択に関わり、4年前には「つくる会」教科書採択に主要な役回りを演じたことは偶然ではありません。
両教育委員に対してただちに辞任を求めます。区長ならびに教育長の見解を求めます。
5)
戦争・改憲攻撃の激化のなかで、オバマ米大統領のいわゆる「プラハ演説」が核廃絶を言明したという賛美行動が続いています。日本共産党・志位委員長は即日親書を発信し、この演説を大絶賛しています。
しかし、オバマ大統領の「プラハ演説」とは何でしょうか。アメリカ帝国主義による核独占と―これが「核不拡散」と称するものの実態です―実際の戦争に使用できるように核兵器体系の再編をめざすものでしかありません。これのどこが「核廃絶」でしょうか。また、オバマ大統領の言う「道義的責任」とは、原爆投下に関する戦争責任といったことではまったくありません。「プラハ演説」が意図的に誤訳されていると思われますが、これは「20世紀に自由を脅かす攻撃に対して核兵器を使用した唯一の国として、対テロ戦争において断固として行動する道義的責任がある」という趣旨であり、アメリカ帝国主義による核独占を今後も維持し、実際の侵略戦争において核兵器を使用していくことを決意表明したものです。この言動のどこが賞賛に値するのでしょうか。
山田区長は、北朝鮮の地下核実験への抗議声明を即日発出しています。こうした行動は結局、オバマ大統領が構想する核独占を承認し、再びの核戦争を後押しすることに帰着します。オバマ米大統領の「プラハ演説」についての見解を求めます。
6)
戦争と改憲攻撃は、戦争阻止勢力を徹底的に壊滅させようとする攻撃であり、それなしに推進できない攻撃でもあります。民営化と労働組合破壊は、核心的には国鉄・郵政・教育・自治体―4大産別の労働者の闘いを叩きつぶすことにありますが、それと並んで、学生運動壊滅こそその核心的な攻撃でもあります。その最先端の攻撃が、法政大学における大弾圧です。
法政大学ではこの3年間で、107人の学生が建造物侵入、威力業務妨害、暴力行為等の処罰に関する法律違反などの容疑をデッチあげられて逮捕され、24人が起訴されています。自治会活動やサークル活動で、大学当局のやり方を批判するビラをまいたり看板を立てたりしたら、退学・停学をはじめとした処分を受けます。それに抗議する学内集会やデモをやろうものなら、警察権力をキャンパスに導入して逮捕させています。大学キャンパスにおいては1枚のビラもまけず、マイクによる情宣活動は1秒もできず、大学が指名する学生はただの1歩も学内に立ち入ることができません。これが大学でしょうか。そこには学問の自由もなければ、大学の自治もなく、あるのは権力・資本に従順な人間=労働者を生産する製造過程のみです。
戦争・改憲攻撃は、すでにこうした形でも労働者人民に襲いかかっているのです。これはひとり法政大学の問題にとどまらず、世界大恐慌と戦争と革命の時代にあるすべての大学の問題です。
山田区長は、杉並区の児童・生徒が進学していくであろう大学のこうしたあり方について、断固として弾劾の態度を明らかにすべきだと思います。区長の見解を求めます。
7)
先に開かれた総務財政委員会において、減税自治体構想の具体化についてのスケジュールが公にされています。具体的な条例・規則などの姿が明らかにされるのは、今夏から今秋にかけてのことと思われます。
減税自治体構想について、当初構想が発表された時に喧伝されていたことは、「毎年一定額の財源を積み立てて、財政のダムをつくり、必要に応じてその果実を活かしつつ、将来はその利子で区民税の減税を実現する」とされていました。しかし、本年1月に提出された研究会報告書を熟読していくと、「将来の積立金を原資にして、その財源から区民税を減税する」との表現が見られます。
これは同じことを言っているとは思えません。利子によって減税財源を賄うという発想から、積立金の中から一定の資金を減税財源に回すという発想に転換したのでしょうか。区長の見解を求めます。
(以上)