「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

UBSがクレディ・スイス買収~その2 <2023年3月20日

2023-04-08 10:45:20 | 世界経済

これは、ひどい話だと思います。
(もっとも、買った投資家が悪いという人もいます。そうでなくても、危なくなっていましたから。)

劣後債2.3兆円が無価値に 投資家は損失―クレディ・スイス
2023年03月20日11時06分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032000449&g=int

「クレディ・スイスが発行した劣後債「AT1債」約160億スイスフラン(約2兆3000億円)の価値をゼロにすると発表した。」

 この劣後債自体は、そのような性質のものであり、元本が削減され資本金に充当される条項は付帯しています。

 一方で、株主はと言うと?
その前に売り叩かれて暴落しています。それを更に割り引いた価格で、UBSの株と交換する事になります。少なくとも、ゼロではありません。

 UBSが得をしたかと言うと、そう言う訳でもなく・
これから、実質的に倒産した銀行の後始末が待っています。何が出てくるか分からないので、損失補償が付いています。

 アメリカの銀行の場合は、株主や債券は全部、実質的に無価値です。緊急避難的に法律を超越して預金だけ全額保護しました。

 クレディ・スイスのケースは、吸収合併と言う形をとったために随分、不公平感があります。

 アメリカのシリコンバレー銀行の場合など、顧客である新興企業の一部は、自分で自分の首を絞めたようなことになります。元々、新興企業に特化した銀行です。だから新興企業への融資も、他の普通の銀行に比べて基準が緩かったです。取付騒ぎを引き起こしてパニックになって、自分たちの取引銀行を倒産させてしまいました。
 普通の銀行は、同じ基準では融資してくれないでしょう。そうすると、やがては資金繰りに窮する企業も出てくると思います。

 それにしても何故?スイスの銀行のNo2のクレディ・スイスが実質的に倒産するに至ったのか?アメリカの場合は、監査当局が監査などしていなかったようです。人手不足で出来なかったそうです。スイスの場合は、スイス国内の大銀行なのですから監査をしていないことは、あり得ません。一体、監督官庁は何をやっていたのか?と言う疑問もあります。
 
 劣後債を購入した投資家は、スイス政府に泣かされました。何か釈然としないものが残ります。

 そして、それが何をもたらすのか。世界中の顧客がスイスの銀行に対する信頼度を落とすでしょうね。普通に考えれば、国境を越えた他の大銀行に一部の預金が移動するでしょう。

BBC
【解説】 クレディ・スイス買収、最大の損失は「安全な投資先」スイスの評判
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65010797

 日本の銀行は、大丈夫なのかやや不安も生じます。

スイス市場が、オープンした後
ビジネス
2023年3月20日5:21 午後Updated 14分前
クレディ・スイス、週明けの株価62%急落 AT1債は1セントに
https://jp.reuters.com/article/credit-suisse-stocks-idJPKBN2VM0HK

 激怒した関係者が、まとめて投げ売りしています。
AT1債は、無価値化が決まっていますが・・
両方の銀行の株の叩き売りに、市場の怒りが込められているように思います。
 すっきり倒産させるか国有化の方が、まだマシだと思います。倒産は、無理筋なので国有化しかないでしょう。それを、怠けて(スイス政府が)インチキ吸収合併させたのは、問題が大ありだと思います。
 やっぱり、仕事はきちんとしないとだめですね。元はと言えば、スイスの監督官庁の怠慢が一番の原因です。外国では、大騒ぎになっているのに?スイス国内では?
「どこ吹く風ぞ?」
と、言うような雰囲気だったそうです。スイス国民にとっても、長年の「銀行安全神話」を信じ切り、スイス国内2番目の大銀行の倒産など想像の外だったようです。「安全神話」が、出てくると危ない証拠です。



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