2021年11月18日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[“投資クオータ”第1弾参加者権益保護 “歴史的原則”からはがし漁獲割当再配分]
ロシア漁業庁長官シェスタコフは、2021年11月17日、ロシア副首相兼極東連邦管区大統領全権代表トルトネフと会談を行い、“投資クオータ”の第2弾の設定に伴い、これが開始される以前に第1弾に参加した漁業会社に対し、極東海域の総許容漁獲量の20%の範囲で漁獲割当を補償配分する計画である旨を伝えた。
ロシア経済紙“カメルサント”が伝えた。
“投資クオータ”の第1弾では総許容漁獲量の20%が、漁船建造15%、水産加工場建設5%でそれぞれ利用目的に応じて配分されている。
一方、“投資クオータ”の第2弾では、スケトウダラ等の総許容漁獲量の更に20%が、漁船建造と水産加工場建設にそれぞれ10%ずつ、利用目的に応じて配分される予定で、大中漁船30隻以上の建造と、年間8万トンの処理能力をもつ8施設の建設が見込まれている。
シェスタコフは、これらの“投資クオータ”を、過去の漁獲実績に基づく“歴史的原則”によって配分された漁獲割当から融通する計画だとし、投資プロジェクトへの資源配分において、バランスを維持するために必要な再配分だと説明している。
“投資クオータ”の第1弾では55隻の漁船建造と24施設の水産加工場、計2,130億ルーブル、79件の契約が締結されている。
第2弾の開始は、水産加工場建設が2022年、漁船建造は2023年を想定している。
また、シェスタコフは、漁船建造義務が伴うカニの漁獲割当オークションについても第1弾を総許容漁獲量の50%を対象に完了済だが、第2弾として、追加的に“歴史的原則”で配分されている総許容漁獲量の更に50%部分を対象に行うことを提案していると明らかにした。
加えて、ホタテ、ツブ、ナマコ等、市場価値の高い資源の漁獲割当も100%オークションを行い配分するほか、投資目的も漁船建造と水産加工場建設ばかりでなく、港湾の複合施設建設、物流整備等、ある程度多様化することも検討を行っているとしている。
なお、シェスタコフによると、これらの提案は、既に農業省に提出されており、関係省庁による承認を待つ段階にきている。