2021年11月01日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2021年スケトウダラ国際市場価格(秋季報告)]
世界のスケトウダラ生産350万トンの内、ロシアが180万トン、米国が150万トンを占めている。
ロシアは洋上でH&G(ドレス)を生産し中国へ輸出、中国が陸上でフィレ加工してEUへ再輸出、米国は日本へすり身として輸出することを、それぞれ仕向けの主流としてきた。
しかし、ロシアについては、新型コロナウイルス拡散防止対策による中国の冷凍水産物輸入制限により、当該貿易は鈍化、今年2021年初めから仕向け構造が大きく変化し始めている。
フィレの最終市場となるEUへ米国が供給を増加させ、ロシアも“投資クオータ”を利用した高次加工漁船と自国陸上加工でフィレを増産し、中国加工を介さない当該市場への直接アクセスを拡大させている。
また、ロシアはこれら製品の国内市場への供給拡大にも取り組みを開始した。
米国から日本へのすり身の輸出価格、中国からEUへのフィレの輸出価格、そしてロシア国内のH&G卸売価格等を監視することで、スケトウダラの国際市場価格を把握することとする。
2021年11月01日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[韓国冷凍スケトウダラ市場動向 2021年11月]
韓国のスケトウダラ市場向け製品の仕立ては主にW/R(ラウンド)となっている。
ロシアの漁業規則改正により韓国市場への冷凍スケトウダラ供給が昨年2019年下半期以降急減、当該製品の価格が高値を維持した。
それまで韓国の冷凍スケトウダラ市場は、韓国漁業会社がロシアと合弁企業(資本:ロシア51%以上/韓国49%以下)を設立、漁船をロシアにリフラッキングさせ、ロシアEEZの漁獲割当をロシア漁船として確保、製品を輸入する際、免税特権(非課税)を受ける所謂”合弁操業”が約20万トンと、韓ロ政府間協定に基づく韓国フラッグでのロシアEEZにおける”GG操業”(3隻)の2万トン-2万5,000トンで構成されてきた。
一方、ロシアは2019年、漁獲割当設定を更新するにあたり漁業規則を改正し、漁獲割当のノルマ消化義務(一定量消化しない漁船は漁獲割当を削減)を50%から70%に引上げた。
この規則改正により一部の”合弁操業”船団の漁獲割当が削減され、2019年下半期以降の韓国市場への冷凍スケトウダラ供給が急減した。
2019年通期、約3割、前年2018年より当該製品の供給が減少し、当該市場価格を急激に引き上げた。
2019年秋、ロシア産スケトウダラの主要加工国の中国がCV19拡散防止対策により輸入規制を開始、一次保税も含め、当該製品の供給先けが韓国に向かい始めると同時に、価格が下降、2021年3月から、W/R(20kg/CS)卸売価格は4,300ウオンを前後している。