ジャイ子さんから質問をいただいたので、回答いたします。
質問1
P459にて、H26の問題で適用違憲を論じない根拠として、「低運賃の事業者だけは特別に許可がいらない、
という理屈が説得力を持つように思えない」との解されています。
確かに低運賃の事情についてはそう言えますが、
本件ではC社はハイブリッド車を使って運行しようとしており、
この車は環境保護に合致するため、説得的な特殊事情に当たり、
適用違憲(処分審査)を論じる意味があるのでは?と考えました。先生の御意見をお聞かせ下さい。
回答
おそらく出題者は、ハイブリッド車を処分審査で考慮するのではなく、
ハイブリッド車に限定するというLRAがあるので、
典型的適用例においても必要性が欠ける、という主張を期待しています。
質問2
(1)H26年度
P479の制約の認定にて「C社の職業選択の自由・営業の自由を制約するものと言える」との解説がされています。
私のロースクールでは、法令違憲の検討の際には、答案上で司法事実を一切使わないよう教えられています。
そこで、表現の仕方として『タクシー事業者の職業選択の自由・営業の自由を制約するものと言える』との表現はどうでしょうか?
回答
違憲な法令によりC社の自由が制約されています。
そもそもC社の権利制約を認定できない場合には、
原告適格がないでしょうから、この点を論じる必要があります。
また、おそらく「法令違憲の検討の際には、答案上で司法事実を一切使わない」
という主張は、不正確です。
そうした主張をする人には、
「法令違憲」と「司法事実」について定義するよう要求し、
それができないなら、誤った講義をしていると考えて対応すべきでしょう。
(2)H23年度
Pの制約の認定についても、「X社が提供するZ機能画像は、ユーザーの利便性の向上や、
不動産広告による詐欺被害などを未然に防ぐことができるなど、社会的意義を有する情報である」と記載されていますが、
答案上「X社が提供する」との記述は削除しても大丈夫でしょうか?
法令違憲における答案上の表現として、保護範囲や制約の認定については、
司法事実を使うかそれとも立法事実のみを使うか、どちらの書き方が厳密には正しいのでしょうか?
どっちでもいいと思います。
質問3
(1)H20年度問題
P163のQ16では、「Aが注意喚起の文章を掲げていた」事実を法令違憲の主張で使ってはダメという旨の解説がされています。
では、この司法事実を抽象化することによって、法令違憲で使うことは可能でしょうか。
例えば、法令違憲の段階で、『注意喚起の告知を行っていた場合まで、規制の対象とするのは法の過剰規制であり、
かかる場合を規制から除外するという他の選びうる手段がある。』とのあてはめを行い、
その上で、適用違憲(処分審査)の段階で、
具体的な司法事実として『Aは注意喚起の文章を掲げていたため、~であり、本件での規制は不必要である。』とのあてはめを行います。
このように司法事実を適用違憲(処分審査)で使うのはもちろんのこと、
この司法事実を抽象化することにより立法事実(っぽいもの?)に変更させて法令違憲でも使うことは可能でしょうか?
そのような主張をする場合は、
典型的適用例の審査(法令審査)ではなく、
注意喚起文を含む場合の部分審査(処分審査)になっています。
(2)H21年度問題
これも(1)と同様の趣旨の質問です。
P214にて「Cが回復している」という司法事実を処分審査で論じるとされています。
しかし、この司法事実を抽象化することにより、
『規則が、被験者が回復する場合まで命令の対象から除外していないという点で規則は過剰な要件を定めているといえ、
回復した場合には命令の対象から除外するという他の選びうる手段がある』というような使い方もできるのでは?と考えました。
その上で、適用違憲(処分審査)では、「Cが回復している」との司法事実をそのまま使おうと考えています。
これも上記と同様で、
被害者が回復した場合の部分審査(処分審査)になっています。
総じて、法令審査と処分審査の定義が理解できていないように感じました。
まず、法令審査・処分審査、司法事実・立法事実という言葉の定義を確認してみてください。
質問1
P459にて、H26の問題で適用違憲を論じない根拠として、「低運賃の事業者だけは特別に許可がいらない、
という理屈が説得力を持つように思えない」との解されています。
確かに低運賃の事情についてはそう言えますが、
本件ではC社はハイブリッド車を使って運行しようとしており、
この車は環境保護に合致するため、説得的な特殊事情に当たり、
適用違憲(処分審査)を論じる意味があるのでは?と考えました。先生の御意見をお聞かせ下さい。
回答
おそらく出題者は、ハイブリッド車を処分審査で考慮するのではなく、
ハイブリッド車に限定するというLRAがあるので、
典型的適用例においても必要性が欠ける、という主張を期待しています。
質問2
(1)H26年度
P479の制約の認定にて「C社の職業選択の自由・営業の自由を制約するものと言える」との解説がされています。
私のロースクールでは、法令違憲の検討の際には、答案上で司法事実を一切使わないよう教えられています。
そこで、表現の仕方として『タクシー事業者の職業選択の自由・営業の自由を制約するものと言える』との表現はどうでしょうか?
回答
違憲な法令によりC社の自由が制約されています。
そもそもC社の権利制約を認定できない場合には、
原告適格がないでしょうから、この点を論じる必要があります。
また、おそらく「法令違憲の検討の際には、答案上で司法事実を一切使わない」
という主張は、不正確です。
そうした主張をする人には、
「法令違憲」と「司法事実」について定義するよう要求し、
それができないなら、誤った講義をしていると考えて対応すべきでしょう。
(2)H23年度
Pの制約の認定についても、「X社が提供するZ機能画像は、ユーザーの利便性の向上や、
不動産広告による詐欺被害などを未然に防ぐことができるなど、社会的意義を有する情報である」と記載されていますが、
答案上「X社が提供する」との記述は削除しても大丈夫でしょうか?
法令違憲における答案上の表現として、保護範囲や制約の認定については、
司法事実を使うかそれとも立法事実のみを使うか、どちらの書き方が厳密には正しいのでしょうか?
どっちでもいいと思います。
質問3
(1)H20年度問題
P163のQ16では、「Aが注意喚起の文章を掲げていた」事実を法令違憲の主張で使ってはダメという旨の解説がされています。
では、この司法事実を抽象化することによって、法令違憲で使うことは可能でしょうか。
例えば、法令違憲の段階で、『注意喚起の告知を行っていた場合まで、規制の対象とするのは法の過剰規制であり、
かかる場合を規制から除外するという他の選びうる手段がある。』とのあてはめを行い、
その上で、適用違憲(処分審査)の段階で、
具体的な司法事実として『Aは注意喚起の文章を掲げていたため、~であり、本件での規制は不必要である。』とのあてはめを行います。
このように司法事実を適用違憲(処分審査)で使うのはもちろんのこと、
この司法事実を抽象化することにより立法事実(っぽいもの?)に変更させて法令違憲でも使うことは可能でしょうか?
そのような主張をする場合は、
典型的適用例の審査(法令審査)ではなく、
注意喚起文を含む場合の部分審査(処分審査)になっています。
(2)H21年度問題
これも(1)と同様の趣旨の質問です。
P214にて「Cが回復している」という司法事実を処分審査で論じるとされています。
しかし、この司法事実を抽象化することにより、
『規則が、被験者が回復する場合まで命令の対象から除外していないという点で規則は過剰な要件を定めているといえ、
回復した場合には命令の対象から除外するという他の選びうる手段がある』というような使い方もできるのでは?と考えました。
その上で、適用違憲(処分審査)では、「Cが回復している」との司法事実をそのまま使おうと考えています。
これも上記と同様で、
被害者が回復した場合の部分審査(処分審査)になっています。
総じて、法令審査と処分審査の定義が理解できていないように感じました。
まず、法令審査・処分審査、司法事実・立法事実という言葉の定義を確認してみてください。
ご回答下さり、ありがとうございます。
質問3で私が言っていることが部分審査であるということは理解できました。
ですが、そう考えると質問1もなおさら部分審査のような気がしてなりません。
質問3が典型的事例でなければ質問1も典型的事例とは言いにくい気がします(ハイブリッド車も法の想定外の事項といえそう)。
典型的適用例か否かの分水嶺はどのように判断すればよいのでしょうか?
典型的適用例の概念というより
LRAの審査(必要性の審査)が理解できていないように思います。
質問1は、
「ハイブリッド車で対応する業者」の部分審査ではなく、
「電気自動車義務付け」に対し、
ハイブリッド車でもOKというLRAがある
ということを審査しているだけで、
法令の部分審査をしているのではないのです。
申し訳ありません。
自分の理解不足のせいもあって、あまり納得いっていません。
質問1で
「電気自動車義務付け」に対し、
ハイブリッド車でもOKというLRAがある
ということを審査しているだけで、
法令の部分審査をしているのではないとされます。
ですが、それをおっしゃるなら、
質問3についても「Cが回復している」という部分審査ではなく、「重大な事態が発生した場合の中止命令」に対して、回復した場合はOKというLRA(要件過剰)があるという審査をしているだけで、法令の部分審査をしているのではないとも言えるはずです。
私が納得出来ないのは、質問1と質問3で適用違憲の可否が変わる理由です。
申し訳ありません。
自分の理解不足のせいもあって、あまり納得いっていません。
質問1で
「電気自動車義務付け」に対し、
ハイブリッド車でもOKというLRAがある
ということを審査しているだけで、
法令の部分審査をしているのではないとされます。
ですが、それをおっしゃるなら、
質問3についても「Cが回復している」という部分審査ではなく、「重大な事態が発生した場合の中止命令」に対して、回復した場合はOKというLRA(要件過剰)があるという審査をしているだけで、法令の部分審査をしているのではないとも言えるはずです。
私が納得出来ないのは、質問1と質問3で適用違憲の可否が変わる理由です。
まず、質問1での電気自動車の義務付けは、
目的達成に役立っているが(関連性はあるが)、
より制限的でないほかの手段(ハイブリッド車でもよい)がある、ので、
どんな適用例でも必要性が欠ける、ということです。
他方、質問3ですが、
典型的適用例は、被害者を死亡させた事案になるので、
それに停止命令を出すのは
目的達成に役立ち、
LRAもありません。
被害者を死亡させた典型的適用例の規制において
「回復した場合は見逃す」は
代替手段にならないはずですが、
この点は理解できていますか?
回復した場合を見逃した場合、規則の生命身体保護という目的を達成しうるか否かということですね。
(1)回復していることからすると、身体が害されていないという評価も可能であり、少なくとも原告で主張する分には代替手段たりうると考えました。
逆に、一度重大な事態が生じた以上、既に規則の目的たる身体は害されているとの評価も可能です。そうだとすると、回復した場合であっても中止すべきであり、回復した場合を除外するというのは、代替手段たりえないともいえます(被告私見では主張出来そうです)。
(2)仮に、代替手段たりえないとしても、それは処分審査においても同じではないでしょうか?
また、
代替手段たりえないことを理由に法令違憲の答案に書くことすら許されないのであれば、処分審査の答案でも書くことすら許されないことになってしまいそうな気がします。
憲法の急所とLIVE本いずれから読まれるのがおすすめでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。
どうも勘違いされているようです。
規則の典型的適用例として
どのようなものを想定されていますか?
それを考えればわかるはずです。
>購入者さま
どうもありがとうございます。
急所からやるとよいと思います。
先生、ありがとうございます。
勘違いしていることに気付けていません。
規則の「重大な事態」の典型例は、例えば死亡でしょうか?
被験者死亡事案で研究中止命令を出すこと
を典型的適用例としましょう。
この事案で、
被験者が回復した場合には研究中止を命じないこと、は
そもそも被験者が死亡しているわけで、
より制限的なほかの
「選びうる手段」
とはいえないですよね?
このように、そもそも規制すべきないものを規制している
という要素は、
「必要性=LRA」で判断する話ではなく、
規制すべきでない類型に適用する場合の部分審査における関連性審査で判断する要素なのです。
ですから、
そもそも被験者が回復した場合、
中止命令を出すべきでないというのは、
典型的適用例ではなく、
被験者が回復した事案の部分審査で考慮すべき話ですね。
ということなのだが、わかりましたか?