今日は、satoimomokoさまから頂いた教育を受ける権利についての
やりとりを御紹介します。
普段あまり考えない論点を考える機会を得られるのが、
このような双方向のやりとりのメリットですね。
教育を受ける権利について (satoimomoko)
2011-12-12 15:56:56
木村先生こんにちは。
以前にも質問させていただいたsatoimomokoと申します。
憲法26条の教育を受ける権利について質問があります。
急所の請求権の解説によると、請求権の具体例として、憲法26条の教育を受ける権利が挙げられていますが、憲法26条を請求権として主張する場合とは、具体的にはどのような場面なのでしょうか。
教育を受ける権利(子供の学習権)が問題となる場合、結局は、親の教育の自由、教師の教育の自由の制約を主張して、三段階審査をすることになるのではないかと考えていたのですが…間違っていますよね…。
どのような場面で教育を受ける権利を請求権として主張しなければならないのか、参考となる判例・裁判例や文献等ありましたら、ご教授いただければ幸いです。
>satoimoko様 (kimkimlr)
2011-12-13 12:55:03
こんにちは。お久しぶりです。
教育を受ける権利ですが、
たとえば、国や公共団体が過疎地の学校をどんどん廃止していって、
実質的に教育を受けることが不可能な地域が生じたとか
そういうケースでしょうか。
現状はそこまでの事態は生じていませんが、
障がいを持つ子供が、地元の自治体にバリアフリー化を
請求するなんてケースは考えられそうです。
ただ、現状は、教育とくに初等中等教育は、
自治体や政治家の方々においても
非常に重要な問題と考えられているようで、
そういうケースが生じることは
幸いにして避けれてきたということでしょう。
教育を受ける権利というと、
古典的ではありますが
奥平康弘先生の芦部編『憲法Ⅱ』という論文が
有名です。ご回答ありがとうございます。
さらに質問があります。 (satoimomoko)
2011-12-13 19:12:59
木村先生
早速のお返事ありがとうございます。具体例とてもわかりやすく、参考になりました。ご紹介いただいた文献についても、大学の図書館で読んでみようと思います。
お忙しい中大変申し訳ないのですが、さらに質問があります。
教育を受ける権利に基づく請求をする場合に、その要件と効果はどのようになるのでしょうか。
条文の文言から、①「国民」であることと、
教育は、個人が人格を形成し、社会において有意義な生活を送るために不可欠の前提をなすものであるということが26条の保障根拠であると考えられることから、②請求する教育内容が、人格形成に役立ち、社会で有意義な生活を送るために不可欠であることが要件なのではないかと考えました。
効果は、教育の機会均等のための教育制度を整備する措置を請求できる権利が抽象的権利として認められる
などと自分なりに考えてみたのですが、よくわかりません。
お時間がありましたら、ご回答よろしくお願いいたします。
>satoimomokoさま (kimkimlr)
2011-12-14 10:43:23
そうですねえ・・・。
国民要件は、まあ憲法上の権利ですから
当然として、
さらに、「能力に応じた十分な教育を受ける機会を与えられていないこと」くらいな感じでしょうか。
効果は、抽象的権利で、場合によっては一般法適用請求権もって感じな気がします。
全体としては、生存権に準じて考えておけばいいかのかなという見通しを持っています。
昨今の情勢を観るに、奨学金の問題とか
今後問題に十分なりうる感じがしますね。
議論もあまりないとこなので
ぜひ、いいことを考えたら教えてください。
Unknown (satoimomoko)
2011-12-14 11:00:40
木村先生
ご回答ありがとうございます。
受験生として、穴がないように勉強することを心がけているのですが、教育を受ける権利は演習問題も少なく、手持ちの基本書の記述も少なかったので、どのように対処してよいか不安を感じていた部分でした。
処理の方向性がわかり、安心しました。
先生のお話をもとに具体的な主張等、考えてみようと思います。
どうもありがとうございました。
また質問させていただくかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
>satoimomokoさま (kimkimlr)
2011-12-14 14:36:02
どうもありがとうございます。
たしかに教育関係の練習問題を作るのは難しそうですね。
構造としては、
『急所』第八・九問といっしょになるので
そちらもご参照ください。