木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

幼児アニメに励まされる

2012-04-18 06:01:08 | ちょっと一言
さて、私、最近、これまでご依頼いただいたことのない
タイプの原稿依頼を頂いておりまして、
うーむむむ、と悩んでしまいました。

私、悩むとどんどんどんどんうっ屈としてきて、
周囲の人々に迷惑をかけまくるタイプで、
お腹の調子もわるくなるような人なのですが、
先日、家庭の事情で、とある幼児アニメをみておりまして、
大変、感動いたしました。

ストーリーは、次のようなものです。

一年前に発表会でグランプリをとった化学部。
今年の研究発表のテーマを選択しようとメンバーで会議をするが、
最初は、昨年高く評価された研究の継続研究をやって
手堅く入賞を狙おう、という意見が大勢を占める。

しかし、いろいろあって、
新しいこと、自分たちがやりたいこと、をやるのが一番であると確信し、
みんなでがんばる。

その結果、入賞は逃すものの(確か、そういう話だったはず)、
とっても楽しく充実した発表になり、
部員はみんな化学部がもっと好きになる。


と、まあ、創作活動の原点のようなものを示す作品で
大変に励まされました。

新しい仕事にも頑張りたいと思います。

定義づけ考量、合憲限定解釈、明確性の関連

2012-04-18 05:57:59 | Q&A 憲法判断の方法
本日は定義づけ考量、合憲限定解釈、明確性原則についてです。
ふくざつにからみあっていて、難しい問題群かもしれません。

Unknown (maso)
2012-01-11 14:08:19
木村先生

はじめまして。masoと申します。
①定義づけ衡量,②合憲限定解釈,③明確性原則についてわからないことがあり質問させていただきます。

①について,宍戸先生が法セミ連載で,定義づけ衡量をしながら併せて目的手段審査をするのは誤りであるといった趣旨の記載をしておりました。
これの位置づけは,急所でいうところの法令審査ですか?
また,高橋先生のいうところの文面上の違憲性判断ですか?

②について,①と関連するのですが,急所では違憲範囲の画定の際に登場する方法だと理解しました。
しかし,①と重複する部分があると思うのです。そうだとすると,合憲限定解釈の位置づけがわかりません。
私は今まで,二段階審査の法文違憲審査後,処分審査をするに先立って,違憲範囲と合憲範囲を区別するときに使うと思ってました。
しかし,翻って①との関係を考えると,法令審査・文面上の違憲性判断とも思え,まず合憲限定解釈をすれば,後に法文違憲審査において目的手段審査をする必要はないということになるようにも思えるのです。(そう考えると,合憲限定解釈と定義づけ衡量の違いもわからなくなってしまいました)

③について,急所P161で「合憲限定解釈の一種」との記載がありました。
明確性原則は,法令審査であって,法文違憲審査とは別に行うと考えていたのですが,法文違憲審査を行なった後の違憲範囲の画定の際にも使うということでしょうか?

以上長くなってしまいましたが,
答案を書く際の①②③の位置づけと,
宍戸先生がいうように①の定義づけ衡量を行なった後に目的手段審査が不要だとすると,同じような効果を持つ②③も同様にいえるのかどうか(ということはまずもって①②③を法令審査・文面上の違憲性審査として行うのがよいのか),
ということがわからず混乱しています。
私の理解がそもそも間違っているかもしれませんが,よろしくお願いいたします。

お忙しいところ,長く質問してしまし申し訳ありません。


>masoさま (kimkimlr)
2012-01-12 05:40:12
こんにちは。

まず、①ですが、定義付け考量については、二つのタイプがあります。

まず、典型的な定義付け考量(A型)とは、目的手段審査というか違憲判断をして
これを規制しても合憲であるという部分の類型を定義するものであり、
正確には「考量後の定義」と表現すべきものです。

なので、宍戸先生のおっしゃる通り
定義付け考量をしたのちに目的手段審査をするのはおかしいです。

わいせつや、非公共的名誉毀損(公共利害に関連しない、又は真実でない名誉毀損)、
せんどう(明白かつ現在の危険を引き起こす扇動)などが、この類型で、
これらの定義は、目的手段審査の結果、規制しても合憲、
と言う行為類型を定義したものです。

なので、これに該当する行為については、
目的手段審査なく、その行為の規制は合憲、といえます。


他方、表現行為のうち、保障の程度を下げるべき強い理由があるものが
もうひとつの定義付け考量です(B型)。

営利広告などがそうですが、この類型は、
この行為類型に該当する、とした場合、緩やかな目的手段審査に入ります。

まとめると、定義付け考量には、

A型 目的手段審査の蓄積→規制しても合憲な範囲の定義 タイプ
  →定義に該当する =規制は合憲。
  →定義に該当しない=規制についてちゃんとした目的手段審査
 (わいせつ、非公共的名誉毀損、明白かつ現在危険なせんどう)

B型 保障の程度を下げるべき理由→緩やかに審査していい行為の定義 タイプ
  →定義に該当する =緩やかな目的手段審査
  →定義に該当しない=ちゃんとした目的手段審査。
 (営利広告)

という二つのタイプがあるわけですね。

 *この部分は、オリジナルの回答に加筆しております。

次に、②ですが、合憲限定解釈は
違憲範囲の画定方法ではなく、
違憲範囲の除去方法です。

目的手段審査をして、違憲部分が発見されたとき
解釈でそれを除去できる場合に、そういう解釈をする
ということですね。

定義付け考量との違いは、
定義付け考量によって示される定義というのは、
「この行為を規制しても違憲ではない」という行為の定義で
問題の法令とは無関係になされる定義です。

他方、合憲限定解釈によって示される定式は、
その法令の合憲的な適用例の範囲を示す定式です。

違憲範囲の画定方法と除去方法の違いをご確認ください。
このブログの「憲法判断の方法」カテゴリーの初期の記事にも
説明があります。

続いて、③ですが、
憲法31条は、刑罰法規について
明確な定式を示すものであり、かつ、容易な解釈をしろ
と言うことを要求しています。

従って、明確な定式を示し、かつ、一般人に理解可能な容易な解釈は、
「憲法31条に適合させるための合憲限定解釈の一種」ですね。

以上です。参考になりましたでしょうか?


ありがとうございます。 (maso)
2012-01-12 15:22:36
さっそくのご回答ありがとうございます。

①は違憲判断(考量)後の定義。
②は目的手段審査後の違憲部分の除去。
③は31条との関係での合憲限定解釈。

ということで理解しました。

①と②とでは,違憲判断後に,①では定義する,②では合憲的適用例の範囲を示す(例えば①刑法175条「わいせつ」と②「戸別訪問」)ため,同じ作業をしているのではないかと考えておりました。

重ねて3つご質問なのですが,

まず,②では限定解釈後,適用違憲の問題となるが,①では後に適用違憲の話にはならないと考えて良いのですか?
例えば,被告人の行為が「わいせつ」行為にあたるとして逮捕・起訴したところ,定義づけ考量の結果「わいせつ」にあたらないと判断された場合です。

次に,①定義づけ考量は「問題の法令とは無関係」とありますが,「わいせつ」であれば刑法175条が問題となっているとはいわないのでしょうか?

最後に,③につきまして,31条との関係で明確性を論じた後に,例えば21条との関係で法文の目的手段審査をしたとします。
そこで合憲と判断した場合,違憲範囲の除去のために当初不明確か否かを論じた法文を限定解釈→処分審査(適用違憲)と進むと思うのですが,これを答案に示すとしたら明確性の議論と重複しないのでしょうか?

毎回長くなってしまい申し訳ありません。
よろしくお願いします。


>masoさま (kimkimlr)
2012-01-13 07:30:37
第一点ですが、
定義付け考量をした場合、
この行為は「わいせつ」にあたる→よって規制しても違憲ではない
この行為は「わいせつ」にあたらない→よって規制すると違憲になる
と処理します。

第二点ですが、
定義付け考量における「わいせつ」の定義とは
憲法上規制対象としていいもの、の定義です。
これと刑法上の「わいせつ」の定義がずれている場合には、
憲法上の「わいせつ」に該当しない部分を処罰している箇所は
憲法判断の対象になり、
他方、
憲法上の「わいせつ」に該当する部分を処罰している箇所は、
合憲だ、という判断が得られます。

第三点ですが、
合憲限定解釈は「解釈の枠内」で行う必要があります。
そして、不明確な解釈は「解釈の枠を超える」ものなので、
そもそもそういう合憲限定解釈はできません。

なので、合憲限定解釈が成立する場合とは
違憲部分を除去する明確な解釈ができる場合なので、
そのような問題は起きないと思います。

ありがとうございました! (maso)
2012-01-15 03:30:28
納得しました!

ありがとうございました!

今後も質問させていただくことがあるかとは思いますが,よろしくお願いいたします!