ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

欧州呼吸器学会が「加熱式タバコ」に声明

2024-02-24 10:32:51 | 煙草
私は数年前に加熱式タバコに切り替え、それ以降加熱式タバコ(アイコス)だけを吸っています。

私がアイコスを吸ってみようと思った理由は特になく、当時いろいろ話題になっていましたので、試してみよう程度の感じでした。吸ってみると紙巻きタバコを吸った時と同じような満足感が得られ、しばらく続けてみることにしました。

すると当時紙巻きタバコを吸った時や、朝起きた時、夜寝る前などに時々出て悩まされていたかなりひどい咳が全くでなくなったことに気づきました。

その他灰皿がいらないことや、吸い殻の処理が楽なことなど欠点以上に良い点があり、いわゆるハームリダクションとして有用であると判断し、それ以後加熱式タバコだけを吸っています。

ところが最近呼吸器に関する国際的な団体である欧州呼吸器学会が、従来の紙巻きタバコから新型タバコ(加熱式タバコ、電子タバコなど)へ切り替える有効性(ハームリダクション)について否定する声明を出しました。

喫煙が呼吸器に関する重篤な病気を引き起こすことは、多分確かでしょう。しかしタバコ産業は、タバコ製品がいかに安全かという事を喫煙者に訴求し、喫煙者にタバコをやめさせずいかに喫煙させ続けるかに向けられてきました。

いわゆるハームリダクションもそのひとつで、ニコチンを含んだタバコを吸うことを完全になくすのではなく、その害を少なくしてタバコによる死亡や病気などの健康被害を減少させることを意味します。

タバコに含まれる有害物質をより少ない量にするなどの工夫が行われてきましたが、科学的な研究でどれも健康被害の低減にはつながっていないことが分かっているようです。

ただ私は、タバコ産業の研究をすべて否定し、それに反するような研究のみを正しいと判断することが、本当に科学的と言えるのかは疑問に思っています。ただしタバコ産業の新型タバコがハームリダクションになるという主張にどう対応するかが議論にはなっているようです。

今回の欧州呼吸器学会の主張は、新型タバコは市場に出回り始めて時間がたっておらず、その長期的な影響は未知数とするとしています。そのうえでタバコ産業のハームリダクションの主張は信じられないと述べています。

このような主張を何項目にもわたって述べていますが、非常に簡略化すると、新型タバコが新たな喫煙者を生む可能性があること、また新型タバコによって禁煙者の増加が期待できないことが主な理由のようです。

結局この声明も禁煙者第一という考えのようですが、禁煙に結びつかないものはすべて排除するというのは、あまり科学的とは言えないような気がします。

医療現場で頼りになる医師の「直観」を適正に評価

2024-02-23 10:34:51 | 健康・医療
最近の医療現場では、医師が検査結果などの数値を基に判断することが多いような気がしていますが、医師や看護師の「直観」(臨床的直観)が重要とされ、ようやく適正な評価を受けるようになってきたようです。

医療データを分析して診断や治療を行う人工知能(AI)システムの開発に関心が高まる一方で、臨床の場での直観についても研究が進められ、重要性も高まっています。

2023年3月の論文では、むち打ち損傷に関わる障害を持つ患者の機能の回復について、理学療法士の臨床的直観による予測は、患者が経験する回復の仮定と密接に結びつくことが示されています。

また2023年6月の別の論文では、手術後に起こる合併症について、手術前の外科医の直感のみに基づく予測にも、臨床データに基づく予測モデルと比較できるほどの精度があることを示しています。

臨床的直観とは、経験によって蓄積された専門技術、知識、パターン認識の集合体です。頭の中ですべての情報がまとめられ整理されて、目の前の患者が本当に重症なのかどうかを判断している、と研究者は述べています。

この認知プロセスの奥深さを考えると、AI技術が人間の医師と同じくらい上手に医学的判断を下せるかどうか懐疑的な専門家もいます。一部の医療従事者が特に直観を働かせていることは確かです。

また2023年3月の別な論文では、緊急性や複雑性が高い医療部門(麻酔科、産科、神経科、集中治療室など)に従事する医師や看護師の場合、現場で直観に基づく意思決定を行う機会が多いことが明らかにされています。

構造化されたデータは、目の前にいる患者から得られる情報と一致しないことがあるそうです。ハーバード大学のチームは、救急医療、内科、家庭医療の医師30人に聞き取り調査を行い、医療現場で直観をどのように働かせているかを調べました。

その結果、稀な症例や過去の誤診、好ましくない経過などを警告する直観を、ベテラン医師たちが何度も経験していることが確認されました。

研究の結果、救急部門を訪れた高齢者が30日以内に死亡するなどの良くない結果になる可能性に関して、医師や看護師の直観は非常に正確であることが分かりました。またそうした直観が患者自身の自己評価と合致する場合、診断はより正確でした。

このような医師の直観により助かったケースなども多いようですが、どうも「直観」という言葉があまり良くないのかもしれません。医師などは経験から来る多くの事例の総合判断で決断しているのであって、単なる直観とは言えないのかもしれません。

こういった瞬時に行う総合的判断は、人間だからこそできる物であり、AIでは置き換えることができない事例のような気がします。

化学構造分析を実現する質量分析装置を開発

2024-02-22 10:31:57 | 化学
有機化学者にとって、合成した化合物が正しいかどうかを調べる分析は重要な仕事となっています。

実際の化学反応よりも、この化学構造分析の方が時間がかかることさえあります。私は現場から離れて20年となりますが、その間も分析機器の進歩は目覚ましいものがありました。

研究室でもこの分析を中心に行う、分析研究室というグループがありました。この最新の機器分析の性能を見ていくと、昔は何日もかかっていた構造解析はAIでできるようになるのではないかと思っています。

有機化学の中に天然物有機化学という分野がありますが、これは植物や微生物から見つけた新規化合物の構造を決定するために、合成して同じものを作ってしまうという分野です。それだけ正しい構造を分析するという事は、難しい作業となっていました。

最近島津製作所は、脂質や天然化合物の詳細な構造分析を実現する、四重極飛行時間型質量分析計「OAD-TOFシステム」の販売を開始しました。

同社の質量分析研究所で研究開発に10年かけ、従来の方法であるイオン解離法(CID)とは異なる、世界で初めて酸素付着解離(OAD)技術を使った製品化に成功したとしています。

同システムは独自のOADと呼ばれるイオン解離技術を搭載することで、脂質や天然物などあらゆる化合物の構造解明を可能にしました。私が現役のころに出た、この前のTOF-システム質量分析計でも非常に感激した記憶があります。

これは化合物の分子量を計算する機器ですが、TOFを入れることによって分子量だけでなく示性式(炭素や水素、酸素、窒素などの比率)まで出るようになったのです。

今回のOADの詳細はあまりに専門的になりますので省略しますが、分子中に含まれる部分構造まで出るようになりました。有機合成反応の場合、目的とする化合物ができたかどうかは、この質量分析計を測定するだけで十分となりそうな気がします。

従来は主に4種の機器分析結果を総合して判断していましたので、非常に楽に構造決定ができることになります。ただしこういった構造解析は職人的な技術が必要でしたが、そういった技術を学ぶ場がなくなってしまうのかもしれません。

前述のようにこの構造解析・分析がAIによってできるようになるならば、その技術自身不要なものになるのかもしれません。それはやや寂しい気がしますが、今回のODA-TOFシステムはそういった自動分析の先駆けとなるような気もしています。

これは私の専門に直結していますので紹介しましたが、有機化学が分からないと分かり難い文章になっているかもしれません。

認知症治療に投じる新たな一石

2024-02-21 10:33:46 | 健康・医療
認知症の7割を占めるアルツハイマー病の原因は、アミロイドβ(Aβ)など脳に蓄積した異常タンパク質を原因物質とみなすAβ仮説が定着しています。

この治療薬として非常に高価な抗体医薬の「レカネマブ」が承認され、専門家の間でも評価は高いようです。私はクスリは誰でも使えるような安価で、簡便なものという信条を持っていますので、レカネマブで認知症が治療できるとは思っていません。

国際医療福祉大学の研究チームは、超音波を脳に当てて微小血管の新生を促し、脳血流を回復させるアルツハイマー病治療の研究に取り組んでいます。

研究チームは生体の自己治癒力を高める音波の作用に20年以上前から注目し、まずは「低出力衝撃波」によって重症狭心症の治療を成功させました。次に目を付けたのが低出力パルス波超音波(LIPUS)です。

衝撃波も安全性は認められているものの、肺を損傷させる可能性がありました。そうしたリスクのない音波を探すうち、LIPUSにも血管新生効果があることを発見しました。あくまでも心臓病向けの研究でしたが、LIPUSを認知症治療に活用できないかと考えました。

血管新生には一酸化窒素(NO)が関わっており、NOは脳内のAβの蓄積を抑えるという論文があったのです。認知症も血管病ではないのかと考えた研究チームは、2014年からマウスによる動物実験をスタートさせました。

その結果LIPUSの照射によって微小血管内にNOが多く生まれ、微小血管の障害を改善させること、その結果脳血流が戻り認知機能の低下を抑制することを明らかにしました。動物実験の結果を踏まえ、2018年からは東北大学病院でヒト相手の治験を始めました。

ヘッドギア型の医療機器を両側のこめかみに当て、LIPUSを照射します。1年半実施したところ、LIPUS治療群は認知機能の悪化が抑制された一方で、プラセボ群は悪化が進んでいました。

また認知機能が改善した人の割合でみても、LIPUS治療群は50%だったのに対し、プラセボ群は0%でした。コロナ禍などで被験者集めに苦労し、最後まで治験に参加できたのは15人と少なかったため、統計学的な有意差は得られませんでした。

それでも厚生労働省は治験結果を高く評価し、2022年9月この医療機器を「先駆的医療機器」の第1号に選びました。有効性や画期性を重視し、選ばれると承認の審査期間が通常の半分程度、半年ほどに短縮される仕組みです。

2027年に国へ承認申請することを目指し、昨年9月から最終試験に着手しました。東北大学、東京大学、名古屋大学など17施設で約220人を対象に2026年まで続けるものです。

こういった治療法であれば、薬の代わりの簡便な方法として期待が持てるような気がします。

人類は海底にいる「宇宙人」と間もなく遭遇する?

2024-02-20 10:36:42 | その他
このブログでも何回か書いていますが、私は宇宙人と遭遇することは時間的にもあり得ないと思っています。

それどころか地球以外に生命が存在する可能性は低いと考えています。ところが2012年からのアメリカの研究によって、宇宙人が存在するという証拠が出てきたという記事がありました。

政府がUFO(未確認飛行物体)やUAP(未確認空中現象)を研究するプログラムの存在が2017年の報道で明らかになると、国民の間に情報公開を望む機運が高まりました。当時のトランプ政権は、軍が所有する調査報告書を議会に提出することを求める法案に署名しました。

国防総省が2021年に提出した報告書には、なんとUFOとの遭遇記録が数多く記されていたのです。2023年7月に開かれた公聴会では、元軍事情報将校が、政府はUFOを操縦していた人間以外の遺体を回収していると証言しています。

またメキシコ議会では、同年9月に初のUFOに関する公聴会が行われ、宇宙人のミイラと称される物体が公開されました。これを元に専門家がいろいろ意見を述べていますが、今年の公聴会で米国は地球外知的生命体の存在の公認にかなり近づくはずとしています。

宇宙人はすでに我々が発見できない地球の領域にいるのでしょう。報告書では調査の主体が海軍であることから、UFOは海から出入りしていると思われるとしています。UFOが良く出現する場所として核関連施設があり、原子力発電所や核弾頭を搭載したミサイルの基地などです。

つまり宇宙人は人間が地球を滅ぼさないよう見守っていると推論しています。アルテミス計画によって、今年中には有人の宇宙船が地球からは見ることのできない月の裏側を周回し、2025年以降は宇宙飛行士による月面着陸を予定しています。

こういうことで宇宙人についての新たな発見があると予測しているようです。私はこういった宇宙人存在説を否定しています。宇宙人の遺体やミイラがあるのであれば、人類とどこが違っているかなどを詳しく調べるはずですが、そういった情報は全く出てきていません。

そもそも宇宙人はどこから来たのでしょうか。太陽系など近い所に居るはずはなく、何千光年離れた星でしょう。つまり光速に近い速度の宇宙船があったとしても、来るまでには何千年もかかるわけですが、宇宙人はそんなに寿命が長いのでしょうか。

宇宙人と言っても生命体ですので、何らかのエネルギー源を摂取する必要があるはずですが、それは何で地球にあるものなのでしょうか。

よく未知の優れた技術という表現を使いますが、地球上で発見された物理法則などを超えた物は理論的にあるはずがありません。こう突き詰めるとやはり宇宙人は存在しない気がします。