ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

潰瘍性大腸炎、患者22万人の難病

2020-09-04 10:26:08 | 健康・医療
安倍首相の辞任の理由になったことで、関心を集めているのが「潰瘍性大腸炎(UC)」です。

完治に至る治療法がなく、発病原因が不明で厚生労働省が「難病」に指定しています。このため珍しい病気と捉えられることも多いのですが、現在の患者数は22万人以上で決して少ないとは言えません。

専門医は、必要な治療を続けて症状を抑え込めば、健康な人と同じ状態といえる「寛解」に持ち込み維持できるとしています。

潰瘍性大腸炎(UC)は直腸と結腸で構成される大腸に炎症が起き、腸管内がただれたり潰瘍が生じたりする「炎症性腸疾患(IBD)」のひとつの疾患です。

直接の原因は不明ですが、ストレスなど周囲の環境の影響や体内の免疫系の異常など複数の要因が影響し合っているとみられています。自覚症状としては、持続的に粘液と血液が混じる血便(粘液便)や通常の血便が目立つほか、下痢や腹痛などがあげられます。

これらの症状が改善する「寛解期」と再発する「再燃期」を繰り返すことが多いようです。ここ10年で様々な治療法が登場し、治療法は大きく変わり、多くの場合は薬物治療で寛解を長期間維持して、発病前と同じような生活が可能としています。

最初に投与されるのは炎症を抑える「5-ASA」と呼ばれる薬で、治療の基本となっています。症状に応じて容量や薬の形を調整しながら、患者は継続的に服用します。

この薬で炎症が収まらない場合には、炎症を抑える力の強いステロイドが加えられます。以前は内服薬しか使えず、全身への副作用が心配でした。現在では泡状のステロイド剤を肛門から腸に入れ、局所に少量を集中的に投与することで、十分な効果と副作用の回避の両立が可能になっています。

こうした治療で症状が改善されない場合には、臓器移植時の拒絶反応を制御するための免疫調整剤や、過剰に反応した白血球の一種が生み出した炎症を悪化させる物質の働きを弱める抗体製剤が使われ効果を上げています。

こういった薬がIBD治療を大きく変えた「キードラッグ」といえるようですが、点滴や皮下注射での投与となり、免疫の低下などの副作用もあるようです。

もうひとつ近年普及したのが過剰に活動している白血球を血液から除去する「血球成分除去療法」で、現在白血球除去療法と単球・顆粒球除去療法の二つの方式があります。

基本的には人工透析と同じ仕組みですが、時間は短く憎悪期に週1回のペースで数回実施します。薬物療法に比べて副作用のリスクが小さい点が評価されています。

安倍首相はこういた治療法の中で何を行ったかわかりませんが、最も効果のある治療をしたはずなのに、辞任に追い込まれたということは、やはり難しい病気といえるようです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿