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光合成で酸素できる仕組み解明

2019-10-28 10:08:25 | 自然
植物が行う光合成のうち、水分子が分解されて酸素ができる反応の仕組みを明らかにしたと、岡山大学などの研究チームが発表しました。

反応は約20個のタンパク質などでできた複合体が仲介しますが、どのように反応を進めるか不明でした。チームは「人工光合成」の実現に向けての重要な情報になると強調しています。

この人工光合成というと、20年近く前ですがある大学の先生がそのモデルを作ったという話を思い出します。

この先生は植物の葉緑素中のポルフィリンなどの触媒や最小限の必要な酵素とタンパク質を組み込んだマッチ箱ほどのシステムを作りました。これに水を加え太陽光を当てると、ごくわずかのブドウ糖が生産されたようです。

ところが問題はかなりあり、まず空気中の炭酸ガス濃度があまりにも低く、ドライアイスから発生させた炭酸ガスを使うのですが、あまり濃度が高いと基質阻害という現象が起こり反応が止まってしまうようです。

また太陽光が必須なわけですが、直射日光はいわゆる分解力も強く装置がすぐに壊れてしまうという欠点がありました。この先生はその後色々改良を加えたようですが、やはり自然の酵素やタンパク質では微妙な安定性が保てず、大型化は断念されました。

岡山大学の成果に戻りますが、太陽光を使い二酸化炭素と水から酸素とデンプンを作り出す光合成は、複数の反応に分けられます。最初の反応でこのタンパク質複合体が二つの水分子から電子と水素イオンを取り出し、酸素分子を形成します。

研究チームがこの複合体の構造を明らかにしましたが、酸素ができる仕組みは未解明でした。研究チームは、X線を極めて短時間照射する方法を用い、水分子を分解して酸素分子を作る反応の五つ途中段階のうち3段階の状態をとらえることに成功しました。

反応が起こる部分はマンガンやカルシウムなどの原子が「ゆがんだ椅子」のような形に並び、二つの酸素原子が結合しやすいように形が変化していくことが判明しました。

反応の仕組みが明らかになったため、太陽光を利用して水を分解し、有用な化学物質を作り出す反応を人工的に起こせるようになる可能性があるようです。

この成果ががどのようにして人工光合成につながるのかはよくわかりませんが、私の知りたい二酸化炭素の炭素原子がどのようにして結合し、糖の骨格になるのかという仕組みも近い将来解明されそうな気もします。

こういった無機化合物から有機化合物への変換というのは有機化学者にとって大きな夢ですので、人工光合成という古くからの課題に少しでも近づいてほしいと思っています。


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